「これはコンプライアンス違反になるのか」と、判断に迷う場面は少なくありません。法律違反ではなくても、社内ルールや社会的な受け止め方によって問題になるケースもあります。
そこでこの記事では、コンプライアンス違反の認定手順や判断基準を整理し、グレーゾーンの考え方やよくある誤解を解説します。

小島 美和(佐藤 みなと)
合同会社あすだち 代表
時間に追われすぎない穏やかな生活を送りたくて、会社員生活を卒業→起業。オンライン事務代行として活動中。節約と時短をこよなく愛しています。息子と2人暮らしのシングルマザー。
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コンプライアンス違反が認定されるまでの手順

コンプライアンス違反は、問題が起きた瞬間に自動的に「違反」と認定されるわけではありません。多くの場合、一定の手順を踏みながら、事実確認と判断が段階的に行われます。
ここでは、一般的な手順を解説します。
きっかけは、内部通報、相談、上司・同僚からの指摘、外部からの苦情です。近年では、「公益通報制度」を通じて問題が顕在化するケースも増えています。
この段階では、あくまで「疑い」や「懸念」が共有されるに留まります。
次に、事実関係です。関係者へのヒアリングや資料の確認などを通じて、「何が起きたのか」「事実として確認できることは何か」を整理します。
ここでは、先入観を持たず、客観的な情報収集が重視されます。
確認された事実をもとに、法令、ガイドライン、社内ルール、社会通念といった判断基準に照らして検討されます。行為の内容だけでなく、故意か過失か、継続性や影響の範囲なども含めて、総合的に判断されるのが一般的です。
調査結果を踏まえ、コンプライアンス違反に該当するかどうかを判断します。内容によっては、社内だけでなく、弁護士や第三者委員会などの外部専門家が関与する場合もあります。
この段階で、違反として認定されるかどうかが正式に決まります。
違反と認定された場合は、必要に応じて是正措置や処分が行われます。同時に、同様の問題を繰り返さないための再発防止策や体制の見直しが検討・実施されます。
ここまでを含めて、コンプライアンス対応と考えられるのが一般的です。
コンプライアンス違反の判断基準とは?

コンプライアンス違反の判断基準は、その行為が問題のない行動か、それとも是正が必要な違反行為かを見極めるための基準です。判断は感覚や個人の価値観ではなく、複数の客観的な視点をもとに行われます。
基準1:法令やガイドラインに違反していないか
まずは、法令や行政ガイドラインに違反していないかです。
法律やガイドラインは、国や行政機関が定めた最低限守るべきルールです。これに違反する場合は、意図の有無にかかわらず違反と判断される可能性が高くなります。個人の認識や社内の監修よりも、法令が優先されるためです。
なお、コンプライアンスにかかわる法令には、「労働基準法」「個人情報保護法」「独占禁止法」などがあり、このうち横浜市では以下のようなガイドラインが設けられています。
基準2:社内ルール・規程に反していないか
次に、社内ルールや規定に反していないかも、重要な基準となります。
社内規則、就業規則、業務マニュアルは、法令やガイドラインを前提に各組織の実態に合わせて定められたルールです。そのため、法律違反に該当しない行為でも、社内ルール・規程に反していれば、コンプライアンス上の問題として判断されることがあります。
基準3:社会通念や倫理的に問題ないか
コンプライアンスの判断では、法令や社内ルールに反していなくても、社会通念や職業倫理の観点から問題ないかが重大な判断基準になります。
社会からの信頼を前提に成り立つ組織や事業では、「合法であること」だけでは不十分な場合があります。一般的な感覚で不適切と受け取られる行為は、企業や個人の信用を損ねるリスクがあり、倫理的な視点での評価が必要とされます。
コンプライアンス違反のグレーゾーンはどう判断されるのか

コンプライアンス上のグレーゾーンは、「違反ではないから問題ない」と判断されることはすくなく、リスクの有無を基準に慎重に評価されます。
グレーゾーンは、法令や社内ルールに明確に違反しているとは言えない(言いづらい)一方で、社会的評価や影響次第では問題化する可能性がある状態です。判断基準があいまいなぶん、結果として生じるリスクや影響を重視した判断が行われやすくなります。
たとえば、以下のような行為が挙げられます。
- 業務指導と称して、人格を否定するような言い回しを繰り返す
- 会社や取引先を直接名指しせずに、批判的な投稿を行う
- 社内でのみ共有すべき情報を、指摘チャットツールで送信する
- 取引先からの接待や贈答品を断らずに受け取る
- ルールを把握していないことを理由に、手続きを省略する
- メディアや外部からの問い合わせに、正式な手続きを経ずに対応する
コンプライアンス違反の判断基準への理解が重要な理由

コンプライアンス違反の判断基準を正しく理解しておくことは、不要なトラブルやリスクを未然に防ぐために不可欠です。
判断基準を知らないまま行動すると、「法律違反ではない」「悪意はなかった」といった自己判断に頼りやすいです。しかし、コンプライアンスは法令だけでなく、社内ルールや社会通念も含めて評価されるため、基準を誤解していると意図せず問題行為と判断されかねません。
たとえば、業務上の慣習として続けていた対応が、社内規定に反していた場合、ある時点で問題が顕在化し、コンプライアンス違反として指摘されることがあります。時代にあわせて違反と認識される行為が変わるので、定期的な見直しも検討されるでしょう。
コンプライアンス違反の判断基準を理解することで、違反の回避はもちろん、組織や個人を守るために適切な選択ができる土台づくりにもなります。判断基準の理解が、安心して業務に取り組むための重要な備えとなるでしょう。
コンプライアンス違反のよくある誤解

- 法律に違反していなければ、コンプライアンス違反にはなりませんか?
-
いいえ、コンプライアンス違反になる場合があります。
コンプライアンスは、法令遵守だけを意味するものではありません。社内ルール、ガイドライン、社会通念、倫理に反する行為も、状況によってはコンプライアンス違反として判断されることがあります。
- 悪意がなければ、コンプライアンス違反にはなりませんか?
-
コンプライアンス違反かどうかは、好意の内容や影響、繰り返し行われて以内かなどを総合的に見て判断されます。意図せずに行った行為でも、結果として問題が生じれば、違反と判断される可能性があります。
- 一人社長や個人事業主もコンプライアンス違反の対象になりますか?
-
はい、対象になります。
組織の規模に関係なく、法令、ガイドライン、取引上のルールは適用されます。特に、委託元や自治体案件では、独自のルールや指針が設けられていることもあり、注意が必要です。
まとめ

コンプライアンス違反は、通報や指摘をキッカケに事実確認が行われ、法令、ガイドライン、社内ルール、社会通念と言った複数の基準に照らして段階的に判断されます。違法かどうかだけでなく、好意の影響や受け止め方も含めて、総合的に評価される点が重要です。
判断基準を正しく理解していないと、「問題ないつもり」の行動が思わぬリスクにつながることがあります。特にグレーゾーンでは、安全側に判断し、迷った時には相談・確認する姿勢が、組織や個人の信頼を守ることにつながるでしょう。
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