一人社長や個人事業主は、自分の判断ひとつで働く時間も時間も収入も選べます。その自由度は魅力的である一方、気づかないうちに働きすぎたり、事業の負担が増え続けて「一人ブラック企業」と化しているケースもあります。
そこでこの記事では、一人社長や個人事業主が働き方を見直す際に検討したい5つの軸、またそのポイントや働き方を最適化するための具体的な手順についても解説します。

小島 美和(佐藤 みなと)
合同会社あすだち 代表
時間に追われすぎない穏やかな生活を送りたくて、会社員生活を卒業→起業。オンライン事務代行として活動中。節約と時短をこよなく愛しています。息子と2人暮らしのシングルマザー。
めんどうな事務作業や雑務に追われていませんか?
みなとのオンライン事務代行がおすすめです
一般的な事務業務だけでなく、経理業務、ホームページ編集、SNS運用まで幅広くご依頼いただけます。
「こんな業務、お願いしても大丈夫かな?」というようなことがありましたら、お気軽にご相談ください!
一人社長・個人事業主が選べる働き方の種類

一人社長や個人事業主が選べる働き方は、会社員のように「雇用形態」で区別されません。事業の特性、収入の構造、自分自身のライフスタイルによって、柔軟に組み合わせられる点が特徴です。
ここでは、事業主が取り入れやすい6つの働き方を整理し、それぞれの特徴を整理します。
その1:労働集約型
労働集約型は、自分の時間と労力をそのまま対価に変える働き方です。アルバイトや派遣社員と同じように時給ではたらきます。
収入が得やすい一方、自分が稼働しないと売上が止まり、時間(時給)によって収入の上限が決まってしまうのも難点です。長期的には、他の働き方との組み合わせが必要になります。
- 講師
- コンサルティング
- オンライン事務代行
その2:プロジェクト型
プロジェクト型は、納品物や成果物に対して報酬が発生する働き方です。
案件の単価が上がりやすく、スキルが報酬に反映されやすい傾向にあります。しかし、納期が集中すると不可が高まり、スケジュール管理の難易度が上がるリスクがあります。専門性を活かしやすい働き方ですが、忙しい時期と落ち着く時期の差が大きく、収入が不安定になりやすいです。
- ホームページ制作
- ライティング(ライター)
- システム構築(SE・プログラマー)
その3:月額制
月額制サービスは、毎月の固定収入を作る働き方です。
収入が安定し、事業計画が立てやすいです。一方、契約数が増えると責任範囲が広がり、自分のキャパシティ管理が必須です。一人社長や個人事業主が安定した経営を目指すうえで、もっとも採用されやすい収益モデルのひとつです。
- SNS運用代行
- 顧問税理士の依頼
- 定期コンサルティング
その4:コンテンツ型
コンテンツ型は、自分のスキル、経験、ノウハウを資産化する働き方です。
自分の時間から切り離して収益を作れますが、制作に時間が必要で、売上になるまでのプロモーション活動も必要なため、すぐに収入にはつながりづらいです。一人で事業をしている人ほど、労働依存度を下げるために検討される選択肢です。
- note有料記事
- デジタル教材販売
- オンライン講座
その5:マイクロリタイアメント型
マイクロリタイアメント型は、短期間の休む期間を作りながら、事業を継続する働き方です。
たとえば、
- 数週間~数ヶ月ごとに休息期間を作る
- 繁忙期と閑散期を意図的に調整する
など、働く時期と休む時期とにメリハリをつけます。心身の負担を減らしながら長く働けますが、収支の計画性が求められ、キャッシュフロー管理が重要になります。
働き方を選ぶための5つの判断軸

働き方を選ぶ際に大事なことは、現在の事業フェーズや生活状況に合っているかどうかです。
ここでは、自分の働き方を選ぶ際に、上記で挙げた働き方を比較・検討するときに役立つ5つの軸を紹介します。これらを押さえておくと、自分にとって無理のない働き方を選びやすくなります。
その1:収入の安定性
まずは、「収入の波をどのくらい許容できるか」という点です。
| 月額制 | 毎月の収入が安定 |
| プロジェクト型 | 繁忙期と閑散期の差が大きい |
| 労働集約型 | 業務量に比例して安定しやすい |
| コンテンツ型 | 長期的に収益の安定を狙えるが初期は不安定 |
| マイクロリタイアメント型 | 計画的に収入を管理する必要がある |
収入が不安定な時期ほど、固定費や生活費とのバランスを意識して働き方を選ぶことが重要です。
その2:労働量とキャパシティ
一人で事業を運営する場合、どの働き方が自分の稼働量と合うかを判断する必要があります。
| 月額制 | 稼働時間=売上のため、キャパ管理が必須 |
| プロジェクト型 | 納期に向けて負荷が高まる時期がある |
| 労働集約型 | 稼働量が予測しやすい |
| コンテンツ型 | 稼働量は少ないが初期の制作負荷は大きい |
| マイクロリタイアメント型 | 環境により生産性が変動する |
その3:体調・メンタルの波
一人社長・個人事業主は、「自分の体調が事業の存続に直結する」という特徴があります。
たとえば、
- 体調やメンタルの波がある場合、労働集約型だけに依存するとリスクが高い
- 月額制やコンテンツ型を組み合わせると負荷を分散しやすい
- マイクロリタイアメント型を取り入れると回復の余白ができる
など、上記に挙げた5つの働き方を取捨選択して、自分にとってちょうどいいバランスを見つけたいですね。
病気だけでなく、事故・トラブル等の不測の事態によって、体調やメンタルに影響を及ぼすリスクがあります。無理なく続けられる働き方を選ぶことが、安定経営につながります。
その4:ライフスタイル
働き方は、生活全体の流れと矛盾しないことが重要です。
たとえば、育児や介護をしている場合、フルタイム勤務ではなく、半日稼働、時短勤務、週4稼働が適している場合もあります。自宅作業が中心の場合は、ワーケーションを活用することも検討できるかもしれません。
ライフステージが変わると、適した働き方も変わります。定期的な見直しで、働き方を微調整したいですね。
その5:スキルの活かし方と単価の伸ばし方
最後の軸は、「持っているスキルをどのように収益化するか」という視点です。
| 月額制 | スキル+継続性で安定収入につながる |
| プロジェクト型 | スキルが報酬に直結しやすい |
| 労働集約型 | 単価を上げない限り労働量が増える |
| コンテンツ型 | スキルを資産化し、時間と切り離して展開できる |
働き方は「どんな時間をどのように売るか」によって、報酬の伸び方が変わります。
今の働き方がしんどいと感じたときに見直すポイント

一人社長や個人事業主は、業務量、収入、生活リズムのすべてが自分に直結するため、働き方が合わなくなると負担が急激に増えます。仕事がしんどいと感じたときは、単に物理的な忙しさではなく、むしろ複数の原因が積み重なって心理的な負担が大きくなったときに限界を感じやすいです。
ここでは、無理のない働き方に再調整するために見直しておきたいポイントをまとめます。
その1:労働時間と売り上げのバランスが崩れていないか
まずは、「労働量」と「売上」が見合っているかどうかです。
- 長時間働いても、月収が上がらない
- 土日も仕事に追われて休めない
- 作業量が増えるほど効率が落ちる
といった状態が続く場合、短歌設定やサービス内容の見直しが必要です。時間を増やすことでしか売上を作れない働き方は、長期的に負担が大きくなります。
その2:今のサービスラインナップが負担を生んでいないか
サービスの種類によって、必要な労力は大きく変わります。
- 手間の割に利益が少ないサービスが混ざっていないか
- 神経を使う業務が多く、精神的な負荷になっていないか
- 一人で抱えるには工数が大きすぎないか
- 自分のスキルと合わないサービスを続けていないか
負担が多いメニューが原因の場合、内容の削減・統合・値上げにより働き方全体がラクになるでしょう。
その3:キャパシティオーバーの状態になっていないか
「できるから引き受ける」を続けると、気づかないうちにキャパシティを超えてしまいます。
- 契約数が増えすぎて管理が難しい
- 納期が重なり、自分のペースを失っている
- マンパワー不足なのに案件が増えている
はじめのうちは気合いで乗り切れても、一人ブラック企業化していくと疲労が蓄積し、心をすり減らして精神疾患につながります。品質にも影響し、信頼損失を招くおそれがあります。
その4:自分の体調・メンタルの波に合わせた働き方になっているか
仕事がしんどいと感じると、だいたいの場合が体調やメンタルに支障をきたしていることが多いです。不調なのに無理をして働くと、取り返しのつかない事態になりかねません。
- 心身の調子が整わないまま仕事を詰め込んでいないか
- 回復のための時間を確保できているか
- 半日稼働・週4稼働など柔軟な働き方を検討できるか
など、一時的に「マイクロリタイアメント」に近い働き方にして、心身を整える期間を作ることで、長く働く仕組みを作ることにつながります。
その5:売上の柱が偏りすぎていないか
ひとつの働き方だけに依存していると、状況の変化に影響されやすくなります。
- 労働集約型だけで収入を作っていないか
- 継続契約が少なく、毎月の売上が不安定になっていないか
- コンテンツ型や定期契約を取り入れる余地がないか
働き方の種類を増やすことで、負担を分散させリスクヘッジにつながります。
働き方を最適化するための実践的な手順

働き方を最適化するときに重要なのは、「現状を可視化し、改善ポイントを順番に整理すること」です。一人社長や個人事業主は、自分が事業の中心になるため、働き方の改善はそのまま売上の安定や生活の質の向上につながります。
ここでは、無理なく実行できる5つのステップを紹介します。
まずは、自分が実際に働ける時間を正確に把握することです。
- 週の稼働可能時間
- 育児、家事、通院、家庭の予定を踏まえた現実的な時間
- 無理なく続けられる稼働可能時間・量
これを明確にすることで、キャパオーバーを防ぎ、仕事と生活を両立できる働き方に調整しやすくなります。
次に、現在の働き方がどれだけの収益を生み、どのくらい負荷がかかっているのかを可視化しましょう。
- どのサービスでどれくらい稼働しているか
- 単価に対して手間が大きい業務はどれか
- 売上の柱がどこに集中しているか
これを表やスプレッドシートで整理すると、今の働き方で負担になっている点、伸ばすべきポイントが一目でわかります。
働き方を整えるもっとも効果的な方法は、不要な仕事を減らすことです。時間的なゆとりを持って、仕事に取り組めるようにすることです。
- 単価の低い仕事
- 精神的な負担の大きい仕事
- 時間が取られる割に、成果につながりにくい仕事
- 自分の強みと合わない仕事
- 無料対応や追加作業が発生しやすい業務
このような仕事を意識して引き受けないと決めることで、働き方全体が大きく改善します。
働き方を最適化する際は、仕事を減らすのと同時に、残した仕事を「より働きやすい形」に変えることも検討しましょう。
- 単価を見直す
- 契約内容や範囲を明確にする
- テンプレート化や自動化で、作業時間を短縮させる
- 外注やツールを活用して、作業を分散させる
特に、一人社長や個人事業主の場合は、外注化や自動化を組み込むことで「自分時間」を増やしやすくなります。
まとめ

一人社長や個人事業主は、自分の判断で働き方を変えられます。負担を増やしすぎないことが事業継続につながるからこそ、ライフステージや生活に合う働き方を選びたいですね。
定期的に自分の働き方を見直して、長く働ける仕組みを作っていきましょう。
みなとのオンライン事務代行がおすすめです

みなとのオンライン事務代行は、神奈川県横浜市を拠点としたオンライン事務代行サービスです。
副業、個人事業主、一人社長、小規模事業者様にご利用いただいております。もちろん、中小企業経営者の方からのご依頼も大歓迎です。
初回のご相談は、オンラインにて無料で承っております。「こんな業務をお願いしたいんだけど、依頼できる?」といったご相談も承れますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。


コメント