2025年に社会保険料が改正されたのをご存じでしょうか?実は、この改正をきっかけに、これまで節税や保険料負担の最適化を目的にマイクロ法人を活用してきた人々にとって、大きな転換点となる可能性があります。
そこでこの記事では、社会保険料改正のポイントを整理しながら、マイクロ法人にどのような影響があるのか、そして今後どのように対応していくべきかをわかりやすく解説します。

小島 美和(佐藤 みなと)
合同会社あすだち 代表
時間に追われすぎない穏やかな生活を送りたくて、会社員生活を卒業→起業。オンライン事務代行として活動中。節約と時短をこよなく愛しています。息子と2人暮らしのシングルマザー。
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社会保険料の改正ポイント(2025年版)

2025年に予定されている社会保険制度の改正は、少子高齢化による保険財政の逼迫や働き方の多様化に対応するための大規模な見直しです。特に、マイクロ法人や小規模事業者にとっては見逃せない内容が含まれています。
ここでは、マイクロ法人に影響を及ぼす主な改正ポイントを3つに絞ってご紹介します。
ポイント1:適用範囲のさらなる拡大
これまで「常時5人以上の従業員がいる法人」が社会保険加入の対象でしたが、2022年、2024年の段階的拡大を経て、2025年には「従業員が1人でも社会保険加入義務の対象になるケース」が拡大する可能性があります。
たとえば、マイクロ法人でも事業実態がある場合や、役員報酬の実態によっては、強制加入の対象と見なされるかもしれません。
ポイント2:被扶養者認定の厳格化
被扶養者(家族)が保険料負担なしで健康保険に入れる制度も、認定条件が厳しくなる方向です。収入要件の見直しや、パート・アルバイトでも一定の収入がある場合に扶養に入れない可能性が出てきています。
これにより、節税対策として配偶者を扶養に入れていたケースも、再検討が必要となるでしょう。
ポイント3:報酬月額の概算ルールの見直し
役員報酬を低く設定することで、社会保険料を最小限に抑えていたマイクロ法人も、賞与やその他の報酬を含めた実質的な収入を基準にする新たな評価ルールが導入されるかもしれません。
これにより、報酬を分散して保険料を逃れる手法が通用しづらくなり、形式だけのマイクロ法人運営には、厳しい目が向けられるようになります。
マイクロ法人が受ける影響とは?

社会保険料の改正により、これまでメリットとされていたマイクロ法人の活用法に見直しが必要になる可能性があります。
特に以下の3点は、マイクロ法人経営者にとって大きな影響を及ぼすと考えられます。
影響1:役員1名でも社会保険加入の義務が強まる
これまでは、法人の代表者1人だけであれば、社会保険に加入しない運用方法も少なくありませんでした。しかし、今後は「法人=事業実態がある」と見なされる可能性が高まり、役員1人でも加入求められるケースが増えると予想されます。
結果として、最低でも年間数十万円規模の保険料負担が発生するため、節税メリットが薄れる可能性があります。
影響2:見せかけ法人への調査や是正指導が強化される
明確な事業実態がないにもかかわらず、節税目的で設立されたマイクロ法人に対しては、税務調査や年金事務所からの是正勧告が強まる傾向にあります。特に「社会保険の加入逃れ」が疑われる法人は、調査対象になりやすくなるでしょう。
法人としての実態や事業内容が求められ、「実態がない」と判断された場合には、遡及しての保険料徴収や加算金が課されるリスクもあります。
影響3:節税目的だけの法人設立が難しくなる
今後の是正で、「法人の設立・維持にかかるコスト>節税効果」となるケースが増えるかもしれません。特に、売上や所得が少ない段階での設立は、かえって負担が重くなる恐れがあります。
そのため、「とりあえず法人化して節税」という戦略は見直しが必要であり、中長期的な収益モデルや、事業戦略を伴わないマイクロ法人には向かい風が吹きつつあります。
社会保険料負担を抑えるための4つの対策

社会保険料の改正によって負担が増えることが懸念される中でも、マイクロ法人としてできる対策は存在します。
ここでは、無理のない範囲で社会保険料負担を軽減するための実践的な方法を4つご紹介します。
対策1:役員報酬の金額と支給方法を見直す
役員報酬は社会保険料の基準となるため、最適化をしましょう。役員報酬額を適切に設定して、過剰な保険料負担を防ぎつつ、最低限の保障も維持できます。
たとえば、年間の役員報酬額を数十万円~100万円台に設定する方法です。保険料負担を抑えつつ、法人の信用力も維持できますが、最低限の生活保障があるかどうかも重視されるため、極端に低い設定には注意しましょう。
対策2:法人設立のタイミングを再検討する
改正内容によっては、設立時期を調整して負担軽減ができるでしょう。改正が適用される前に設立すると、旧制度が一時的に適用された形でマイクロ法人を設立できるかもしれません。
たとえば、2025年4月から新制度が施行される場合、その前の年度で設立・決算期を組むことで、初年度の保険料計算に有利な条件が適用される可能性があります。
対策3:外注や業務委託を活用する
従業員を雇うと社会保険の加入義務が発生するため、業務を外注や業務委託に一任する方法が有効です。業務委託は社会保険の適用対象外なので、人件費がコントロールしやすくなります。
外注先は調べれば色々と出てきます。現在の人員ではまかないきれない業務を外注することで、労務リスクと社会保険コストの両方を抑える企業が増えています。
対策4:地域や制度を活用した補助金・助成金の活用
地域によっては、社会保険料の一部を助成する制度もあります。
自治体や国が行う雇用促進・起業支援などの制度を使うことで、負担を軽減できる場合があります。ただし、補助金が支給された場合でも、効果は一時的で継続が大変だと感じるかもしれません。シミュレーションをして目的に合う補助金・助成金を申請しましょう。
社会保険料の今後とマイクロ法人の戦略

社会保険料の改正は一時的ではなく、今後も継続的に見直されることが予想されます。そうした流れは少子高齢化が進む日本において避けられませんので、マイクロ法人をどのように活用すべきかという視点がより重要になるでしょう。
戦略1:節税だけの法人設立は見直す
これまでは、節税目的でマイクロ法人を作る流れが一部で定着していましたが、社会保険料の強化や監視の厳格化により、そのメリットは限定的になりつつあります。
今後は、節税以外の目的を持った法人化が求められます。資産管理、信用力向上、複業管理などの目的を明確に決めて法人化しましょう。
戦略2:マイクロ法人の意義は信用力にある
社会保険料の負担が増えても、法人名義での契約、取引、補助金・助成金の申請、法人クレジットカードの発行など、事業における信用力が高まるメリットは大きく残ります。
特に、副業やフリーランスとして活動している方にとっては、個人事業主よりも社会的な評価を得やすい点で、マイクロ法人の価値は継続しています。
戦略3:時代に合わせて柔軟に戦略を変える
社会保険制度は変化し続けます。そのため、法人化したら終わりではなく、定期的に事業収支や制度改正の動向をチェックし、必要に応じて法人運営の方針を見直すことが大切です。
節税だけにとらわれず、収益モデル、事業目的、ライフプランに合う法人運用戦略を立てることで、時代の波に流されない、安定した運営ができるようになるでしょう。
まとめ

2025年の社会保険料改正は、マイクロ法人にとって大きな転換点となります。特に、節税の為だけに法人化するという考え方は、今後ますます通用しにくくなるでしょう。
今後の制度改正に備え、定期的な情報収集と収支の見直しを行いながら、自信にとって最適な法人運営を模索していきましょう。
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