マイクロ法人を設立する際、避けて通れないのが「定款(ていかん)」の作成です。とはいえ、その作成について不安になる方も多いです。特に、マイクロ法人のように、一人で設立・運営するケースでは、コストと手間を抑えつつ、将来的な事業展開にも対応できる定款づくりが求められます。
そこでこの記事では、定款の基本から具体的な書き方、ありがちなミスをわかりやすく解説します。

小島 美和(佐藤 みなと)
合同会社あすだち 代表
時間に追われすぎない穏やかな生活を送りたくて、会社員生活を卒業→起業。オンライン事務代行として活動中。節約と時短をこよなく愛しています。息子と2人暮らしのシングルマザー。
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定款とは?

定款とは、法人の基本ルールを定めた「会社の憲法」のようなものであり、法人設立時に必ず作成しなければならない重要な書類です。
定款には、会社の名称(商号)、事業目的、本店所在地、出資内容、期間設計など、法人としての基本情報や運営ルールが掲載されます。この内容に基づいて、法人の活動範囲や意思決定の方法が決まるため、あとから変更する場合には手続きや費用が発生することもあります。
つまり、定款は単なる形式的な書類ではなく、法人の枠組みを定め、将来の自由度や信頼性にも影響する「戦略的な文書」です。だからこそ、マイクロ法人であっても丁寧に設計しましょう。
マイクロ法人の定款に必ず記載する項目

マイクロ法人を設立する際、定款には「絶対的記載事項」と呼ばれる、かならず記載しなければならない項目があります。これが欠けていると、法務局での申請が通らず、法人として認められません。
具体的な項目は以下のとおりです。
その1:目的
法人が行う事業内容を記載します。将来的に事業を広げたい場合に備えて、多少幅を持たせた表現にしておくのが一般的です。
その2:商号
法人の正式名称です。「株式会社」「合同会社」などの種類に応じた表記が必要です。たとえば「合同会社〇〇」といった形式になります。
その3:本店所在地
法人の主たる事務所の所在地を記載します。記載方法としては「市区町村」までにとどめ、詳細な番地は別途登記申請書に記載するのが一般的です(定款変更を避けるため)。
その4:設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
法人設立時に出資される資本金の額を記載します。たとえば「金10万円」など。
その5:発起人の氏名または名称および住所
法人を設立する人(発起人)の情報を記載します。マイクロ法人では1人が発起人かつ代表社員になるケースが多いです。
その6:公告の方法
法人の公告(決算公告など)をどのように行うかを定めます。よくある記載は「電子公告」または「官報に掲載する」などです。
定款を作成するときの手順

定款は自分で作成することも、専門家に依頼して作成することもできます。ただし、どの方法を選ぶにせよ、記載内容の正確さや手続きの流れを理解しておくことは不可欠です。
ここでは、定款の作成から認証、登記に至るまでの基本的な手順をわかりやすく解説します。
手順1:定款の内容を設計する
まずは、定款に記載すべき内容を決めましょう。
事業目的、本店所在地、商号、資本金、公告方法などは絶対的記載事項であり、定款の核となります。設立後の柔軟性や変更のしやすさもここで決まると言っても過言ではありません。
なお、別記事で紹介した代行サービスを利用してマイクロ法人を設立する場合、上記で紹介した6点を抑えておけば定款を作成してくれるので、これ以上に必要な手順はありません。
手順2:定款を文書として作成する
設計した内容をもとに、正式な定款文書を作成します。
定款は会社の根本的なルールを記した法的文書なので、形式に沿って正しく作らないと、公証役場では認証されません。不安な場合は、行政書士や司法書士のテンプレートを活用すると安心でしょう。
手順3:電子定款または紙の定款を選ぶ
定款には「電子定款」と「紙の定款」の2種類があり、どちらかを選ぶ必要があります。紙の定款は4万円の収入印紙代が必要ですが、電子定款であれば収入印紙代が不要です。
費用を抑えたいなら電子定款、手間を減らしたいなら紙の定款、という選び方がおすすめです。
手順4:定款の認証を受ける
株式会社を設立する場合は公証役場での定款認証が必須です。認証には予約が必要で、電子定款ならデータ送付、紙なら原本3通の持参が求められます。
マイクロ法人で合同会社を選ぶ場合は、この手順はスキップできます。
手順5:定款を添えて法人登記を申請する
完成した定款は、登記申請書類と一緒に法務局へ提出します。定款は法人登記に必要な添付書類のひとつであり、提出しないと登記が受理されません。
紙の定款で提出する場合は、原本とコピーが必要です。電子定款はPDFで対応できます。
事業目的の書き方とNG例・おすすめ例

事業目的は、将来的な事業展開も見据えて「具体的かつ網羅的」に書くことが大切です。あいまいすぎても、限定しすぎても後悔につながります。
事業目的は、法人の活動範囲を示す重要な情報です。登記審査では適法性や明確性が求められ、不適切な表現は差し戻しの原因になります。また、定款に記載されていない事業は原則として営めないため、後から事業を追加する場合は定款変更と登記が必要となり、手間と費用がかかります。
事業目的の書き方のNG例
「コンサルティング業」とだけ記載する
漠然としていて、コンサルティング内容が不明確です。何のコンサルティングを行うのかを補足する必要があります。
「社会に役立つ活動を行う」
抽象的すぎて、登記では認められない表現です。
事業目的の書き方のおすすめ例
- 経営、営業、人事、ITに関するコンサルティング業務
- Webサイトの企画、制作、運営および保守業務
- 「各種物品の企画、製造、販売および輸出入
定款のよくある失敗例とその対処法

マイクロ法人の設立にあたって、定款は法人運営の土台となる重要書類ですが、初めて作成する場合には思わぬミスが起こりがちです。
ここでは、よくある失敗例とその対処法を紹介します。
ミス1:事業目的が抽象的・不明確すぎる
「コンサルティング業」「販売業」など、あいまいな表現だけで記載されている場合です。
このような表記は、法務局で登記を拒否されたり、あとから事業を拡大しようとする際に定款の変更が必要になるかもしれません。業種ごとに具体的な内容を記載しつつ、将来を見据えて複数の事業目的を盛り込むようにしましょう。
ミス2:公告方法の記載が漏れている
公告方法に関する記載がなかったり、「なし」としている場合です。
公告方法は絶対的記載事項のひとつで、記載漏れがあると定款が無効になります。「官報に掲載する」または「電子公告による」といった形式で、明確に記載するのが基本です。
ミス3:本店所在地を詳細に書きすぎる
たとえば、「東京都港区北青山1丁目1番1号」と詳細な住所まで記載されている場合です。
オフィス移転時に定款の変更が必要となり、余計な手間が増えます。定款では「東京都港区」など市区町村名までにとどめ、詳細住所は登記申請書で記載するのが一般的です。
ミス4:印紙代がかかる紙の定款を選んでしまう
電子定款の仕組みを知らずに、紙で作成・提出してしまう場合です。
紙の定款では4万円の収入印紙代が必要となり、コストがかさみます。パソコン環境が整っていれば、電子定款に切り替えて収入印紙代を節約できます。
ミス5:定款の保存・バックアップを忘れる
後日、金融機関や取引先に提出を求められた場合に、定款が手元にないと困ってしまいます。PDFや印刷で複数部数を保管し、クラウドや外部ストレージにもバックアップしておくと安心です。
まとめ

マイクロ法人を設立する際、定款は単なる書類ではなく、法人の方向性や将来の事業展開を左右する「設計図」ともいえる存在です。
特に、一人で法人運営を行うマイクロ法人では、ムダなコストや手間を避けるためにも、定款を戦略的に作成することが欠かせません。今回ご紹介したチェックリストやNG例・おすすめ例を参考にしながら、自分の事業に合った定款を丁寧に整えましょう。
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