旅費規程を作る際に、日当や宿泊費の相場はいくらかと悩む方が多いです。特に、一人社長や個人事業主の場合、金額設定に自信が持てず、不安になることもあります。
そこでこの記事では、旅費規程の項目別相場感を整理したうえで、一人社長や個人事業主が相場を見るときに注意すべきポイントや、税務上で問題になりにくい考え方について解説します。

小島 美和(佐藤 みなと)
合同会社あすだち 代表
時間に追われすぎない穏やかな生活を送りたくて、会社員生活を卒業→起業。オンライン事務代行として活動中。節約と時短をこよなく愛しています。息子と2人暮らしのシングルマザー。
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旅費規程における主な項目別の相場感

旅費規程の相場は、法律や税法で金額が明確に決められているわけではありません。そのため、実務では「社会通念上、妥当と考えられる水準」を参考にしながら、自社(自分)の事業内容に合った金額を設定することが大切です。
ここでは、よく設定される主な項目ごとに、一般的な相場観を整理します。
日当の相場感
日当は、出張中の細かな飲食費や雑費を補填する目的で支給されるものです。
一人社長や個人事業主の場合は、
| 日帰り出張 | 3,000円~5,000円程度 |
| 宿泊をともなう出張 | 5,000円~10,000円程度 |
が目安です。極端に高額でなければ、実務上も受け入れやすい水準となるでしょう。
なお、出張頻度や業務内容によっては、日帰りと宿泊とで金額を分けず、一本化するケースもあります。
宿泊の相場感
宿泊費は、日当とは異なり、「実費精算」または「上限額を定めた精算」とするのが一般的です。
重要なのは、実態とかけ離れた高額設定になっていないかどうかです。領収書と金額設定に合理性があれば、相場を多少上下しても大きな問題になるケースは多くありません。
交通費の相場感
交通費は実費精算が前提となるため、「相場」を気にする必要はありません。
- 電車・バス・新幹線・飛行機などは実際にかかった金額を精算
- グリーン車や特別席を使う場合は、利用する理由を説明できるかがポイント
となります。旅費規程では、「合理的な経路・手段による実費精算」といった形で定めるのが一般的です。
その他(雑費・手当など)の相場感
旅費規程によっては、出張時の通信費、移動中の軽微な雑費も対象とすることもあります。これらも、高額な定額支給にするより、日当の範囲内でカバーする、もしくは実費精算とする方が無難でしょう。
一人社長・個人事業主が相場をそのまま使っていけない理由

旅費規程の相場がわかると、その金額をそのまま使いたくなります。しかし、一人社長や個人事業主の場合、相場をコピペするだけでは不十分なケースも少なくありません。
ここでは、その理由を整理していきます。
その1:法人規模や立場が一般企業と異なる
インターネット上で紹介されている旅費規程の相場は、中小企業や一定規模の法人を前提にしていることが多いです。
一方、一人社長や個人事業主は、
- 出張する本人=経営者本人
- 従業員がいない、または従業員がいても少人数
- 事業と私的な行動との線引きが見えづらい
といった特徴があります。そのため、同じ金額設定にした場合、節税目的ではないかなどと見られる可能性があり、注意が必要でしょう。
その2:事業内容や出張実態によって妥当性が変わる
相場は、平均的なケースを想定した目安にすぎません。
- 出張頻度が多いのか、年に数回なのか
- 商談・現場対応など、業務上の必要性が明確か
- 近距離移動が中心か、長距離移動が多いか
といった要素によって、妥当とされる金額は変わります。相場だけを基準にすると、実態に合わない旅費規程になってしまうこともあります。
その3:金額の妥当性を説明できなくなる
旅費規程で重要なのは、金額そのものよりも、その金額を設定した理由を説明できるかどうかです。
相場をそのまま使ってしまうと、その金額が事業規模・売上から見て妥当か、自社の実務実態と結びついているのか、という点を自分でも説明できない状態になりやすいです。このような状態では、税務調査が入った際に不利に働く可能性があります。
その4:節税目的が前面に出やすくなる
一人社長や個人事業主の場合、「節税のために旅費規程を使っている」と見られやすい場合にあります。相場の高めの金額を選んで設定していると、制度の趣旨よりも節税目的が強調されてしまうおそれがあります。
その結果、不要なリスクを抱えることになりかねません。
相場より大事な「税務上で問題になりにくい考え方」

旅費規程を考えるときに多くの人が気にするのが、「相場に合っているかどうか」です。しかし、税務上で本当に重視されるのは、金額の大小そのものではありません。
ここでは、一人社長や個人事業主が押さえておきたい「税務上で問題になりにくい考え方」を整理します。
その1:社会通念上、妥当と言える内容になっているか
税務の判断軸としてよく使われるのが、「社会通念上の妥当性」です。
これは、同業・同規模の事業者から見て、明らかに高すぎないか、常識的な範囲に収まっているか、といった視点で見られるという意味です。たとえ相場の範囲内であっても、事業内容や出張実態とかけ離れていれば、妥当とは言いにくくなるでしょう。
その2:出張の実態と旅費規程の内容が一致しているか
旅費規程は、実際の出張業務を前提に作られている必要があります。
- 実際に出張が発生しているか
- 業務上の必要性がある移動か
- 規程どおりに運用されているか
これらが嚙み合っていないと、どれだけ相場を意識した金額でも説得力を欠いてしまいます。規程があっても、実態が伴っていない状態は、税務上で不利になりやすいポイントです。
その3:一貫したルールとして継続的に運用されているか
税務上で評価されやすいのは、毎回同じ基準で処理されているかどうかです。
- 出張のたびに金額が変わる
- 都合のいいときだけ日当を支給する
- ルールがあいまいで判断基準がない
こうした運用は、恣意的とみられる可能性があります。金額が多少ひかえめでも、一貫性のあるルールで継続して運用されている方が安全です。
その4:節税のためだけに見えない設計になっているか
節税効果だけが前面に出てしまうと、制度の趣旨から外れていると判断されるおそれがあります。
- 相場の上限ギリギリだけを狙っていないか
- 他の経費処理とのバランスは取れているか
こうした点も含めて、自然な設計になっているかを意識することが大切です。
その5:説明を求められたときに自分の言葉で説明できるか
最終的に重要なのは、「なぜこの旅費規程なのか」を自分で説明できるかどうかです。
- なぜこの金額にしたのか
- なぜこのルールにしているのか
- 事業内容とどう結びついているのか
これらの言葉で説明できれば、相場から多少ずれていたとしても、税務上で問題になる可能性は低くなります。
旅費規程の相場でよくある質問

- 旅費規程の日当は、相場より高く設定すると否認されますか?
-
かならずしも、否認されるわけではありません。
重要なのは、金額の高さそのものではなく、社会通念上の妥当性と合理的な理由があるかです。理由なく相場の上限だけを狙った設定は、リスクが高くなりやすい点には注意が必要です。
- 税務署が公表している基準がありますか?
-
税務署が公式に公表している相場はありません。旅費規程の金額は、法律や通達で具体的に定められていないためです。
判断基準はあくまで、「社会通念上で妥当かどうか、実態と合っているか」になります。公的な正解を探すより、説明できるルール作りを意識する方が現実てきです。
- 相場を意識しすぎると、逆にリスクになりますか?
-
はい、なり得ます。
相場だけを基準にすると、実態と合わず、説明ができない規程になるといったリスクが生じやすくなります。相場はあくまで参考情報ととらえ、自分の事業に合った無理のない旅費規程を作ることが、結果的に税務上も安心できる洗濯と言えるでしょう。
まとめ

旅費規程の相場は、日当や宿泊費を考えるうえでの目安になりますが、そのまま使えば安心というものではありません。一人社長や個人事業主の場合は、事業内容や出張の実態に合っているかどうかが特に重要です。
税務上で問題になりにくい旅費規程にするためには、相場よりも「社会通念上の妥当性」「一貫した運用ルール」を重視する必要があります。相場は参考にしつつ、自分の事業に合った無理のない基準を設けることが、安心して使える旅費規程につながります。
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