法人成りをするときに悩むのが「商号(社名)」です。長く使うからこそ、気に入った商号にしたいと感じますが、実は他社と被っていたら使えません。住所も被っていたらゼロから考え直さなければいけません。
そこでこの記事では、これから法人成りをする個人事業主が知っておくべき法律上のルールから、法的には問題なくても見落とせない実務的なリスクまでを解説します。無料でできる確認方法なども紹介しますので、最後まで読んでくださいね。

小島 美和(佐藤 みなと)
合同会社あすだち 代表
事務歴15年以上。2021年に独立、幅広い業種の一人社長や個人事業主のサポートをしています。「仕事のていねいさ」「相談しやすさ」に定評。
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同一商号・同一住所の確認が必要な理由

会社を設立する際に、同一商号・同一住所の確認は、「登記の却下(やり直し)」を防ぐために必要です。
「商業登記法」では、特定の場所にすでに登記されている会社とまったく同じ名称で、かつ、まったく同じ住所(本店所在地)の会社を登記することは法律で禁止されています。もし、これを見落としたまま申請してしまうと、法務局で受理されず、設立日や事業計画が大幅に狂ってしまいかねません。
このような厳格なルールがあるのは、「法人の識別」と「取引の安全」を守るためです。もし、同じビルの中に同じ名前の会社が2つ存在していたら、銀行、税務署、取引先が判断できなくなり、混乱を招くおそれがあります。トラブルを未然に防ぐために、商業登記法 第27条によって、同一住所での同一商号は明確に制限されています。
法的にはOKでも注意すべき3つのリスク

法律上は同一商号・同一住所でなければ登記申請が受理されますが、法的に「可能であること」と、ビジネスが「円滑に進むこと」は別問題です。登記申請の前に、以下の3つのリスクがないか、押さえておきましょう。
その1:銀行口座開設や融資審査が通りづらくなる
あなたが登記しようとしている住所に、過去に行政処分を受けた会社や、実体のないペーパーカンパニーが存在していた場合、審査時に「不審な重複」とフラグが立つおそれがあります。
法的に別の会社だと主張しても、審査担当者から見れば高リスクです。銀行口座が開設できなかったり、融資の審査が通らなかったり、法人運営や資金繰りに影響を与えかねません。
その2:不正競争防止法による差し止め・損害賠償
同一商号・同一住所の称号が通った場合でも、近隣や同業界に同一商号で、しかも広く知られている企業がある場合、「不正競争防止法」に抵触するかもしれません。意図的に混同させて、先方のブランド力にフリーライドしていると判断されるおそれがあります。
このような場合、相手企業から社名の使用差し止め請求や損害賠償を提訴されるリスクがあります。登記上の審査よりも、実社会の商売のルールの方が厳しいという現実に、注意が必要でしょう。
その3:検索迷子と誤配トラブル
現代のビジネスにおいて、社名で検索した場合に検索の1位に表示されないことは、存在しないのと同じです。
同一商号の会社がある場合、インターネット検索において後進のあなたの会社が下位になります。顧客があなたの会社を検索したのに他社のサイトにたどり着いてしまうのは、機会損失でしかありません。これは、Googleマップでの検索や郵便・FAXの誤配送でも同じです。
同一商号・同一住所を確認する方法

同一商号・同一住所は、オンラインで確認できます。
法務局へ足を運ぶ前に、まずはパソコンやスマートフォンを使って、以下の3つのステップで確認しましょう。
もっとも信頼性が高く、かつ完全に無料でできるのが、国税庁が運営する「法人番号公表サイト」です。日本国内に登記されているすべての法人が網羅されており、リアルタイムに近い情報が反映されています。
検索結果に、同一商号・同一住所(部屋番号まで一致)の会社が出て来なければ、法的な制約はクリアしていると言えるでしょう。
「登記情報提供サービス」は、本来は有料で登記簿を閲覧できるサイトですが、商号の検索だけであれば、ログインなしの一時利用で無料で利用できます。
このサイトは法務局の登記データそのものを参照しているため、国税庁のサイトよりも情報の更新が早い場合があります。最終確認として利用するのがおすすめです。
法律の重複がなくても、ビジネス上のトラブルを避けるためにGoogleでの検索は必須でしょう。
- Google検索で、予定している社名・市区町村名を検索
- Googleマップで、予定している住所・ビル名を検索して、入居企業一覧を確認
を確認しましょう。この際、登記されているかではなく、実態があるかどうかを確認しましょう。似た名前の会社がある場合は、社名の微調整を検討する必要があります。
こんなときはどうする?ケース別の対処方法

同一商号・同一住所を確認して、重複や類似ケースに遭遇することもあります。
ここでは、一人社長が直面しやすい4つの代表的なケースと、その具体的な対処方法をご紹介します。
ケース1:同一商号の会社が見つかってしまった場合
予定していた住所に、まったく同じ名前の会社がすでに登記されていた場合、残念ながらそのままで登記はできません(商業登記法 第27条違反)。以下の対応が検討されるでしょう。
対応方法の例
| 対処方法 | 内容 |
| 商号の一部を変更する | 「株式会社〇〇」「〇〇ジャパン株式会社」など、目的語や地域名を加えて識別できるようにします。 |
| 本店の表記を詳細にする | 相手が「○○ビル」までしか登記されていない場合、「〇〇ビル501号室」と部屋番号まで性格に記載すれば、別の住所として受理されるかもしれません。可能性にすぎないので、管轄の法務局に事前相談をしましょう。 |
| 移転・解散の有無を確認する | 相手企業がすでに廃業している、清算結了している場合は、その商号を再度使える可能性があります。 |
ケース2:マンモスオフィスやシェアオフィスの場合
大規模なオフィスビルや、数百社が住所を所有するバーチャルオフィスやシェアオフィスでは、住所がまったく同じになることが一般的です。バーチャルオフィスやシェアオフィスの場合、運営会社より登記時の住所表記を指定されるケースが多いです。
登記にこのような施設を利用する場合は、運営会社に「過去に同名の会社が入居してトラブルになったことはないか」を確認しておきましょう。郵便物の誤ハイリスクを未然に防ぐことができます。
ケース3:自分と同じ名前の会社が隣の市にある場合
住所が違うのに、同じ名前の会社が近くにある場合は、法的にも登記して問題ないとされています。
ただし、ホームページを作成するのに必要なドメイン、情報発信で利用するSNSのアカウント名としてすでに使われて居たり、似ている表気になっていると、集客面で不利になります。事業内容が似通っていたり、活動エリアが重なる場合は、商号の変更・微修正を検討した方が良いでしょう。
ケース4:自分と同じ屋号ですでに他社がいる場合
個人事業主時代の屋号をそのまま社名にしたいが、その名前が他社にすでに使われている場合、まずは「J-PlatPat」で商標登録がされているか確認しましょう。商標登録をされていると、その名前で法人化して営業活動を行うと、商標権侵害で訴えられるリスクがあります。
それでも使いたい場合は、
- 「株主会社」の位置を変える(前株・後株)
- 「屋号+サービス名」にするなど名前を微修正する
ことで、リスク回避になり、かつブランディングの観点からも安全でしょう。
まとめ

会社を設立する際に、同一商号・同一住所の調査は、登記申請を却下されないために不可欠な手順です。もし、この手順を省いて申請した場合、法務局で受理されず、設立日や事業計画が大幅に狂いかねないので注意しましょう。
このルールは、法人の識別と取引の安全を守るための物であり、登記費用を無駄にしないために重要なリスク管理です。先々を見通すと、銀行審査など実務的な視点でもリスクをつぶせることになり、事業の安定につながります。セルフチェックは数分で完了するので、ぜひ取り入れて準備しましょう。
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