日常的に業務、事務作業、集客、顧客対応とタスクが増えやすい一人社長や個人事業主におすすめなのが「AIエージェント」です。しかし、導入費用が高額だったり設定が煩雑だったりして、導入したくても渋っている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、一人社長や個人事業主でも申請できる補助金・助成金制度、想定される自己負担額、申請の手順までをわかりやすく解説します。

小島 美和(佐藤 みなと)
合同会社あすだち 代表
事務歴15年以上。2021年に独立、幅広い業種の一人社長や個人事業主のサポートをしています。「仕事のていねいさ」「相談しやすさ」に定評。
限られた時間の中で最大の成果を出す「効率化」を重視し、お客様が本来の業務に集中できるよう、心強いパートナーとして伴走します。
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AIエージェントの導入に補助金を使えるのか?

一人社長や個人事業主であっても、AIエージェントの導入に国や地方自治体の補助金・助成金を活用することはできます。法人化していない個人事業主であっても申請対象から外されるわけではなく、用件を満たし、申請が受理されれば補助を受けられます。
国や地方自治体が小規模事業者のAI導入を推し進めているのは、深刻な人手不足を解消し、労働生産性を底上げするためです。
少子高齢化が進む中、リソースの限られた一人社長や個人事業主がワンオペから脱却するための手段として、AIや自動化ツールの価値が認められるようになりました。実際、これまで中小企業のデジタル化を支援してきた「IT導入補助金」は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」へと名称が刷新され、AIエージェントや生成AIツールの導入支援が明確に強化されました。
そのため、「自社の規模で補助金は無理だろう」とあきらめる必要はまったくありません。資金力や人手に余裕がない一人社長や個人事業主こそ、補助金や助成金を賢く活用し、最小限のリスクでAIエージェントを導入して、自分の時間を取り戻すべきではないでしょうか。
一人社長・個人事業主が狙えるAIエージェント対象の補助金・助成金

国や地方自治体から出ているすべての補助金・助成金において、AIエージェントや生成AIツールの導入対象になるわけではあります。一人社長や個人事業主が狙うべき補助金・助成金は3つあり、そのどれかで自社にとって最良のものを選択・申請してみるのがおすすめです。
具体的な3つの補助金・助成金は以下のとおりです。
その1:デジタル化・AI導入補助金
これまで中小企業のデジタル化を支えてきた「IT導入補助金」が、制度刷新にともない名称を「デジタル化・AI導入補助金」へ変更した補助金です。その名の通り、AIツールの導入が優遇されるようになりました。
ソフトウェアの初期費用、最大2年分のクラウドサービス利用料、導入時の設定やマニュアル作成、運用保守のサポート費用などが補助対象です。「IT導入補助金」と同様、登録されたベンダー(IT導入支援事業者)から購入することが条件ですが、ベンダーが申請から報告までサポートしてくれるため、小規模事業者でも申請しやすい制度と言えるでしょう。
すでに世の中に存在する、既製品のAIエージェントサービス(事務自動化ツールやAI問い合わせ対応システムなど)を契約して、すぐに使いたい場合。
その2:小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」は、商工会や商工会議所のサポートを受けながら、ビジネスの販路開拓(売上アップ)を目指すための補助金です。
枠単体での自由度が高く、ツールの購入費用だけでなく、それにともなうWebサイトの改修費や広告費なども組み合わせて申請できます。インボイス制度への対応や賃上げなどの要件をクリアすれば、補助上限額が最大250万円まで引き上げられる特例もあります。
AIエージェントを組み込んだ新しいWeb集客システムの構築、AIを使った顧客分析・マーケティング活動の自動化など、売上を増やすための仕組みづくりとセットでAIを導入したい場合など。
その3:人材開発支援助成金
「人材開発支援助成金」は、AIツールの購入そのものではなく、AIを使いこなすためのリスキリング(学び直し)や研修に対して国が費用をサポートしています。
従業員(雇用保険の被保険者)がひとりでもいれば対象となります。ツールの導入費用は上記で挙げた補助金でまかない、それを現場で運用するための教育コストをこの助成金でカバーするという「組み合わせ技」が非常に有効でしょう。
外部の専門家を呼んで、「AIエージェントを業務に組み込むためのプロンプト(指示文)作成研修」を数日間にわたって受講する場合など。
いくらかかる?AIエージェントを導入する際の費用と自己負担額

自己負担で実用的なAIエージェントを導入する場合、通常であれば、年間総額で100万円~150万円の費用がかかります。しかし、補助金や助成金を活用できれば、実際の自己負担額は年間20万円~30万円程度(月額換算で15,000円~25,000円)にまで抑えることができます。
これほど自己負担額を抑えられる理由は、補助金・助成金によっては、ツールの初期費用だけでなく、運用に不可欠な「月額・年額のクラウドサービス利用料」「初期の設定代行・サポート費用」までを幅広くカバーしてくれるからです。
AIエージェントは、ただ契約しただけでは機能せず、自社の業務フローに合わせたカスタマイズやプロンプト(指示文)の設計が必要になります。この初期設定や伴走サポートを専門業者に依頼する費用も補助対象に含まれるため、ワンオペで技術的な知識が乏しい経営者でも、リスクを最小限に抑えて導入できる仕組みになっています。
したがって、AIエージェントの導入費用は、通常価格だけを見るとハードルが高く感じられますが、補助金や助成金を賢く使えば、一人社長の限られた予算でも十分に手の届く投資になります。手元のキャッシュフローの計画さえクリアできれば、これほど低リスクで業務効率を爆発的に高められるチャンスはないでしょう。
補助金・助成金の申請からAIエージェント導入までの手順

申請から実際に補助金・助成金が口座に入金されるまでには、全期間で半年~1年弱かかるため、スケジュールに余裕を持って進めるのがポイントです。ここでは、もっとも狙い目となる「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」を例に、具体的な手順を解説します。
まずは、すべての電子申請のベースとなる行政共通認証システム「GビズIDプライム」のアカウント登録をします。アカウントの発行までに2~3週間かかる場合があるため、申請するツールを選定する前に、スマホやパソコンから申請を済ませておきましょう。
次に、導入したいAIエージェントツールを扱っている「IT導入支援事業者(登録ベンダー)」を選びます。
補助金は自分で勝手にツールを買っても支給されません。登録されたベンダーから購入する必要があります。
選定したベンダーと共同で、「交付申請マイページ」から事業計画書など、必要な申請書を作成します。
計画書は、AIエージェントの導入によって、労働生産性がどのくらい向上するのかを、数値目標を交えて入力します。この作成にはベンダーが協力してくれるため、相談しながら進めれば滞りなく対応できます。
計画書の作成が完了したら、オンラインで申請書を提出し、審査結果(採択・不採択)を待ちます。申請締め切りから結果発表までは、1ヶ月~2ヶ月ほどかかります。
無事に審査に通過すると「交付決定通知書」が届き、ツールの契約・導入へ進みます。正式に契約を結び、自社の業務に合わせたAIエージェントの設定、プロンプトの構築、稼働テストなどの事業を実施していきます。
事業として、ツールの契約・導入が完了したら、その記録として「実績報告書」の作成と提出をします。
一連の流れをまとめた報告書に、ベンダー等からの見積書・請求書、銀行口座の明細書、ツールの稼働画面のキャプチャなどを添付します。オンラインで申請できることが多いです。
提出を終え、運営事務局が確認・受領したタイミングで、補助金・助成金が指定口座に振り込まれます。
まとめ

国や地方自治体による補助金・助成金は、資金や人手に余裕のない一人社長や個人事業主がAI導入するのを後押ししてくれるでしょう。AIエージェントを導入できる補助金・助成金は定期的に公募されているので、申請を検討されてみてはいかがでしょうか。
まずは、現在の業務を棚卸しし、どんなAIエージェントが必要となるか、シミュレーションしてみるのがおすすめです。ワンオペ経営であらゆる業務をこなす必要があるからこそ、AIエージェントという「優秀なデジタル部下」の導入は事業を円滑に進められる効果も期待できます。
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