個人事業主として活動していると、「ビジネスネーム」と「領収書」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。これらを使いこなすと、信頼を得るだけではなく、会計処理や税務上のトラブルを防ぐためにも重要です。
そこでこの記事では、ビジネスネームと領収書にまつわる基本から実務まで、実例を交えて分かりやすく解説します。

小島 美和(ビジネスネーム:佐藤みなと)
合同会社あすだち 代表
時間に追われすぎない穏やかな生活を送りたくて、会社員生活を卒業→起業。オンライン事務代行として活動中。節約と時短をこよなく愛しています。息子と2人暮らしのシングルマザー。
個人事業主にとってのビジネスネームの位置づけ

個人事業主にとって、ビジネスネーム(屋号)は「自分の事業を象徴する看板」ともいえる存在です。会社のように法人格を持たない個人事業主だからこそ、屋号を通して事業の内容や方向性を相手に伝える必要があります。
ビジネスネームは「事業の顔」
個人事業主にとって、ビジネスネームは事業の顔となるものです。法人のような会社名はありませんが、屋号を名乗ることで事業の専門性や信頼性を相手に伝えることができます。
ビジネスネームは届出すれば活用できる
屋号の使用は、法律で義務付けられていません。しかし、開業届に記載しておけば、請求書、領収書、銀行口座などにもビジネスネームを使用できるようになります。
事業活動を明確にし、プライベートとの区別をつけやすくなる点でも便利です。
ビジネスネームはブランド構築に役立つ
屋号はサービス内容や理念を反映させることで、事業のブランディングにも貢献します。たとえば、氏名だけよりも、氏名の一部と事業内容を組み合わせたビジネスネーム(屋号)の方が、事業内容が伝わりやすく、覚えてもらいやすいです。
ビジネスネームには法的保護がない
ビジネスネームには、商標のような法的保護は基本的にはありません。そのため、他人と同じビジネスネームを使うことも可能ですが、トラブルを避けるためには、独自性のある名称を考えることが大切です。
領収書の役割とは?

領収書は、事業に必要な支出を証明するための重要な書類であり、経費として認められるための根拠になります。
税務署は、帳簿上の経費が実際に発生したものであるかを確認する際に、領収書の有無や内容を重視します。正しい領収書がないと、支出の正当性を説明できないと見なされ、経費として否認されるリスクがあります。
たとえば、クライアントとの打ち合わせでカフェを利用した場合、「打ち合わせ費」として経費にするには、その支出を証明する領収書が必要です。ただし、内容が不十分な領収書では認められない可能性もあるため、以下の項目がきちんと記載されていることを確認しましょう。
- 発行日(取引日)
- 宛名(屋号または氏名)
- 金額(消費税を含む総額)
- 支出の内容(例:「打ち合わせ費として」「消耗代」など)
- 発行者の氏名または会社名(押印またはサインが入っているのが望ましい)
領収書の宛名の書き方

領収書の宛名は、「屋号+氏名」または「氏名のみ」で明確に記載するのが基本です。
曖昧な宛名や空欄のままでは、経費として認められない可能性があります。特に、税務調査の際に「誰の支出か」が問われた場合、証明力が弱くなってしまいます。
たとえば、「やまだ工房」という屋号なら、宛名を「やまだ工房 山田太郎様」とすることで、事業用の支出であることを明確に示せます。
領収書の宛名は、事業に関連した支出であることを示す重要な情報です。屋号や氏名を正しく書くことで、信頼性と経費処理の透明性が保たれます。
領収書の保管と税務上の注意点

注意点1:領収書は最低でも5年~7年保管する
領収書は、税務署からの調査に備えて5年~7年間の保管が必要です。
青色申告者は原則7年間、白色申告者でも5年間の保管が義務付けられています。これを怠ると、税務調査が入った場合に、経費として認められないリスクがあります。
万が一の税務調査に備えて、領収書は年度ごとに分けて整理・保管しておきましょう。
注意点2:電子保存にも対応しておく
領収書は、紙だけでなく、スキャンやPDFなどの電子保存でも良いとされています。
電子帳簿保存法の改正により、一定の条件を満たせば、領収書を電子データで保存することが認められています。紙で保管するよりも、検索や管理がしやすくなるでしょう。
保管の手間を減らし、ペーパーレス化にもつながるので、電子保存は積極的に活用しましょう。
注意点3:証明力を高めるメモや添付資料も活用する
領収書には、使途がわかるようなメモや関連資料を添えておくと、経費としての照明力が高まります。
単なるレシートだけでは、何に使ったかを思い出せなくなることもあります。税務調査時に説明できないと、経費として認められないかもしれません。
たとえば、領収書の裏面に「〇月〇日 クライアントとの打ち合わせ用カフェ代」などと一言メモをつけておけば、用途が明確になりますね。
まとめ

ビジネスネーム(屋号)と領収書の取り扱いは、個人事業主にとって非常に重要な実務のひとつです。
面倒な作業に思えるかもしれませんが、ひとつひとつをきちんと整えておくことで、確定申告や税務対応がぐっと楽になります。将来のトラブル回避のためにも、今一度、領収書の書き方とビジネスネームの使い方を見直しましょう。
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