- 自分よりも年下の世代と話がかみ合わない
- 取引先との雑談の場で話が続かないことが多い
- ソフト老害という言葉を聞いたことがあるが、詳しくはわからない
個人事業主や小規模事業者として事業をしていると、自分よりも年下の世代でも代表として仕事をする人に出会うことが多いです。しかし、これから良好な関係を築きたいと思っていても、なかなかうまくいかないことが多いです。
その一因になっているのが、「ソフト老害」です。自分が良かれと思ってやっていることが、相手には迷惑と思われたり、ウザいと感じられたりしていることもあります。
そこでこの記事では、テレビ番組やインターネット上でしばしば取り上げられているソフト老害について解説します。
ソフト老害とは?
ソフト老害は、元放送作家の鈴木おさむさんが生み出した言葉で、特定の年齢層に限定されない、時代遅れの考え方や行動を指す言葉です。30~40代の中間管理職的な立場で、上司のプライドを傷つけず、部下の意見をうまくまとめたつもりでも、若い世代からはその行動が老害に見えることを意味します。
ソフト老害の厄介なポイントは、当の本人に悪気がまったくないことです。若い世代は「ちょっとズレているな」「ウザいな」と思うことがあっても、その行動の背景を理解できなくない…ということも面倒だと感じる一因となっています。
ソフト老害の具体的な事例は以下のようなものが挙げられます。
- 事例1:過去の武勇伝を語る
- 事例2:マウントを取りたがる
- 事例3:説教やアドバイスをしたがる
- 事例4:自分の立場からしか物事を考えない
- 事例5:昔話を連発する
事例1:過去の武勇伝を語る
自分の過去の偉業や経験(武勇伝)を繰り返し話します。「あの頃の自分はすごかった」「あのプロジェクトは睡眠時間を削ってがんばったから成功した」などと自慢げに話すのです。
はじめのうちは「すごいですね」と持ち上げていても、何度も同じ話を聞き続けると「また同じ話をしている」「その話以外に話すことはないのか」と思うことは自然でしょう。
事例2:マウントを取りたがる
他人の話題に対して、自分の知識や経験などの自慢話にすり替えて、「自分の方がすごい」とマウントを取りたがります。話の主人公はいつも自分でないと気が済まないタイプです。
ソフト老害に限らず、このような人はどこにでもいますし、個々にある程度の耐性はあるかもしれません。しかし、毎回同じようにマウントを取られてしまうと、話す気力がそがれてしまいます。
事例3:説教やアドバイスをしたがる
相手が求めてもいないのに、説教やアドバイスをしたがります。ソフト老害をしている人は、若い世代を理解しているつもりで先輩風を吹かせたがり、潜在的に「自分は正しいことをしている」と思い込んでいます。
実際は、目立ちたがりの褒められたがりなことが多いです。立場上、相手の状況や話を聞かず、感覚的なアドバイスにとどまるので、相手に時間を無駄にしたと思わせてしまいます。
事例4:自分の立場からしか物事を考えない
他人の視点や感情を無視して、自分の都合だけで物事を判断します。自分が満足さえすれば良いので、相手や周囲の状況・考えを考えることができません。
仕事をする上では、できるだけすべての関係者にとってメリットの感じられる対応・対策をすることが原則です。しかし、その原則に反して損得勘定を働かせてしまいます。
事例5:昔話を連発する
若い世代には興味のない昔話を延々とします。若い世代に自分の昔話をすることで、自分のすばらしさを伝えたいだけです。
はたから見ると、ただの自慢話にしか聞こえません。内容によっては、今の時代にそぐわないやり方やモラルに反する行為も含まれています。若い世代からすると、ありがた迷惑にしかならないことがあります。
ソフト老害のセルフチェックリスト
「老害」でも「ソフト老害」でも、自分の言動が周りの人には害になっていると思うと悲しい気持ちになりますよね。まずは現状把握として、自分がソフト老害になっていないかチェックしてみるのはいかがでしょうか。
ソフト老害のセルフチェックリストは以下のとおりです。
- 自分の経験を過度に自慢する
- 同じ習慣やルーティンを続ける
- 他人の助言や指摘を素直に受け止められない
- 新しい技術や知識を得ることに消極的である
- 他の意見や提案を聞き入れることに抵抗がある
- 問題解決策に過去の手法ばかりを何度も提案する
- 自分の知識やスキルが最新であると過信している
- コミュニケーションを取るときに上から目線である
- フィードバックを受け入れることが難しいと感じる
- 問題が起きたときに責任を他人に押し付けることが多い
セルフチェックリストで6つ以上が当てはまる方は、ソフト老害になりうる言動をしている可能性が高いです。1つでも心当たりのある場合は、自身の言動を振り返り、見直してみることをおすすめします。
ソフト老害にならないためにできる対策5選
鈴木おさむさんだけでなく、千葉商科大学 常見陽平准教授も「若き老害」を提唱しています。この提唱によると、ソフト老害は20代後半~40代、老害は50代~60代とされています。
よって、世代に関係なく誰かの「害」になることはあると言えるのではないでしょうか。
なぜ老害が若年化? 20代後半でも知らないうちに…鈴木おさむが提唱「ソフト老害」
老害 ソフト老害 年代 50~60代 20代後半~40代 特徴 自分の考えや成功論の押し付け
パワハラに疎い「君のためを思って」など言い回し
パワハラを警戒監修:千葉商科大学 常見陽平准教授
誰にでも好かれようとするのはほぼ不可能に近いでしょう。しかし、行動を見直し改めることで、相手も自分も気持ちよく良好な関係を築くことができるのではないでしょうか。
ソフト老害にならないためにできる対策を5つご紹介します。
- 対策1:定期的に新しい知識・スキル・トレンドを学ぶ
- 対策2:変化に柔軟に対応する心構えを持つ
- 対策3:相手の立場や感情を考慮して会話をする
- 対策4:過去の経験を現在の状況に合わせて活用する
- 対策5:個人のキャリアプランを定期的に見直す
対策1:定期的に新しい知識・スキル・トレンドを学ぶ
現状に固執しないためには、定期的に新しい知識、スキル、トレンドを学ぶことが大切です。
積極的に研修やセミナーに参加したり、異なる世代の人々とコミュニケーションを取ることで刺激を受けることができます。交流の場に行くことができない場合は、インターネットでの情報収集、オンラインコミュニティやSNS上での交流もおすすめです。
対策2:変化に柔軟に対応する心構えを持つ
変化に柔軟に対応する心構えを持つことで、先のことまで考えて行動をしやすくなります。自分の考えにとらわれすぎない工夫にもなります。
変化に柔軟に対応できることは、個人事業主や小規模事業者にとっての強みになります。取引先のニーズやお客様のリクエストを真摯に受け止め、事業を変化させることで成長につながることもあります。変化を受け入れることでチャレンジしやすい土壌も作られます。
対策3:相手の立場や感情を考慮して会話をする
自分の意見に固執しすぎず、相手の立場や感情を考慮して会話を進めることが大切です。
事業(ビジネス)は、すべての関係者がWin-Winの関係にならなければ成立しません。ときに自己主張が必要な場面もあるかもしれませんが、そのような状況であっても相手が気持ちよく仕事ができるよう配慮は必要になるでしょう。
コミュニケーションを取るときにもっとも大切なことは「傾聴(聴く力)」です。相手を知ることで自分のことも客観的な視点で考えやすくなります。聴くに徹することで新しい学びを得ることにもつながります。
対策4:過去の経験を現在の状況に合わせて活用する
過去の経験や知識は、現在の状況に合わせて活用すれば課題解決に活かすヒントとなります。
過去の経験や知識そのものがソフト老害ではなく、それらをひけらかす言動がソフト老害にすぎません。これまでの経験や知識はあなたにとっての「財産」なので、それを活かしつつ、柔軟に応用していくことも大切です。
対策5:個人のキャリアプランを定期的に見直す
個人事業主や小規模事業者として事業を展開していると、目の前の業務や売上にとらわれやすくなります。それらは事業主として大切なことでもあるのですが、それ以上に大切なことは仕事への向き合い方です。
めまぐるしく変化する時代だからこそ、取引先のニーズにこたえ続けるためにキャリアの変革が求められることがあります。これまで歩んだキャリアを見直し、これから歩みたいキャリアを定期的に再構築していきたいですね。
まとめ:ソフト老害になりうる言動を減らしていこう!
この記事では、ソフト老害の解説と自分がソフト老害にならないための対策・セルフチェックリストを紹介しました。
最後に、この記事で紹介したソフト老害にならないための対策を復習しましょう。
- 対策1:定期的に新しい知識・スキル・トレンドを学ぶ
- 対策2:変化に柔軟に対応する心構えを持つ
- 対策3:相手の立場や感情を考慮して会話をする
- 対策4:過去の経験を現在の状況に合わせて活用する
- 対策5:個人のキャリアプランを定期的に見直す
誰にでも相性のいい人も悪い人もいるので、万人に好かれようとする必要はありません。仕事でもプライベートでも、自分が大切にしたい人たちと世代を超えて良好な関係を築いていくこと。そして、少なくとも自分が不快と感じることを相手にしないことが大切ではないでしょうか。
時代の流れにあわせて、人の心も行動も変わっていきます。自分だけ現状維持を決め込んで取り残されてしまいます。
「現状維持は退化のはじまり」とも言います。大幅リニューアルとまではいかなくても、マイナーリニューアルを積み重ねて日々進化していきたいものです。
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