起業して自分の裁量で働くはずが、休みもなく働き続けてしまう「一人ブラック企業」と化している個人事業主や一人社長は多いです。責任感や完璧主義が重なると心身に負担がかかり、事業の成長・継続にも支障をきたすだけに、すぐにでも脱したい状況と言えるでしょう。
そこでこの記事では、個人事業主や一人社長が陥りやすい一人ブラック企業の特徴、リスク、抜け出す方法をご紹介します。

小島 美和(佐藤 みなと)
合同会社あすだち 代表
時間に追われすぎない穏やかな生活を送りたくて、会社員生活を卒業→起業。オンライン事務代行として活動中。節約と時短をこよなく愛しています。息子と2人暮らしのシングルマザー。
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一人ブラック企業とは?

「一人ブラック企業」は、個人事業主や一人社長が、みずから過酷な労働環境を作り出してしまう状態のことです。
会社員のブラック企業は、上司や会社から労働を強いられるのに対し、一人ブラック企業は自分自身が経営者であり従業員でもあるため、業務を際限なく抱え込み、長時間労働や低単価の仕事を続けてしまうのが特徴です。
以下の内容に心当たりがある場合は、あなたが「一人ブラック企業」になっている可能性が高いと言えるでしょう。
- 休みゼロで働き続ける
- 低単価の仕事を抱え込む
- すべての業務を一人で全部抱える
- 労働時間が会社員時代より長くなっている
- 健康管理(食事、運動、睡眠)がおろそかになっている
自分の裁量で働くために起業したはずが、むしろみずからを仕事に縛り付けていないでしょうか?この状態を放置し続けると心身を壊すリスクもあるため、早めに働き方の見直しが必要です。
一人ブラック企業になりやすい人の特徴

一人ブラック企業になりやすい人は、気づかないうちに自分自身を追い込んでしまう考え方や行動パターンが見られます。
ここでは、どんなタイプの人が一人ブラック企業に陥りやすいのかを整理します。
特徴1:責任感が強すぎる人
まずは、責任感が強すぎる人です。
「自分がやらなければ取引先に迷惑がかかる」と考え、休みを削ってでも業務をこなそうとします。納期を守るために徹夜を続ける、他人に任せられる仕事も一人で処理しようとするというだけでなく、休日にすることがなくてつい仕事をしてしまうなどもあるでしょう。
仕事の全責任を負う立場だからこそ、責任感があること自体が悪いわけではありません。しかし、それが過剰になると自分を追い込むことになりかねません。
特徴2:完璧主義で任せられない人
次に、完璧主義の人です。
完璧主義の人ほど「自分のやり方でなければ満足できない」と考え、細かい作業まですべて自分で抱え込もうとします。こだわりが強く、「まだ完璧じゃない」と何度もやり直して、結果的にコストに見合わない時間をかけていることもあるかもしれません。
顧客満足度を高めるために質を高める姿勢は大切ですが、完璧主義が行き過ぎると非効率な働き方につながっている場合もあるので、注意したいですね。
特徴3:単価交渉が苦手な人
単価交渉が苦手な人は、低報酬で仕事を続けてしまいがちです。
「値上げをお願いしたら契約を切られてしまうかもしれない」と不安になり、報酬を見直せないまま案件を抱えてしまうことがあります。単価が低いと収入が伸びず、生活費を稼ぐためにさらに仕事量を増やすという負のループに陥りやすいです。
適正な短歌を設定できないと、いつまでも「安くて忙しい状態」から抜け出せずに苦しみ続けてしまいます。
特徴4:境界線を引けない人
仕事と生活の境界線を引けずにいると、つねに働き続ける傾向があります。
個人事業主やフリーランスの場合、売上や戦略をつねに考えているために境界線を引くに引けない状況もあるかもしれません。
しかし、夜遅くに届いたメールは即レスしなければならないのか、今その作業をしないと納品に支障をきたしてしまうのか、と言われれば、実はその必要はないこともよくあります。オンとオフを切り替えるルールを作らなければ、心身の疲労は蓄積する一方です。
特徴5:断ることができない人
キャパを超えて仕事を引き受け続けていることもあるでしょう。
「せっかく依頼してもらったのに断ったら悪い」「仕事がなくて苦しんだ時期があるから」と、限界を超えても、時間的に限界に達していても仕事を引き受けてしまいます。どんなにスケジューリングに工夫しても納期に間に合わず、結果として徹夜や休日出勤が常態化するケースもあります。
断らない姿勢は信頼につながるかもしれませんが、長期的には無理がたたって自分の首を絞める結果になりかねません。
一人ブラック企業がもたらすリスク

個人事業主や一人社長には自分の裁量で働けますが、それは「どれだけ働いても咎められない」ということでもあります。知らず知らずのうちに一人ブラック企業化して、その放置によって心身の健康や事業の存続に大きな悪影響を及ぼします。
ここでは、代表的な3つのリスクをご紹介します。
その1:心身の健康を損なうリスク
長時間労働や休養不足は、心身の健康を確実にむしばみます。
休みなく働き続けることで、疲労やストレスが慢性的に蓄積し、体調不良やメンタル不調につながります。肩こりや頭痛などの身体的症状が悪化したり、睡眠障害、不安障害、強迫観念が強まればうつ状態になることもあります。
いつもできていたことができなくなったら、すでに心身が限界に達している状態です。健康を損なうことで、後述する「事業の成長・継続」と「人間関係や家庭への悪影響」に直接的な影響を与えます。
その2:人間関係や家庭に悪影響を及ぼすリスク
働きすぎは、人間関係や家庭に影響を及ぼします。
つねに仕事に追われた状態では心の余裕がなくなり、自分を取り巻くすべてのことに過剰反応しやすくなります。家族や友人と過ごす時間が減れば疎遠になり、無意識のうちに大切な人を傷つける言葉を投げかけてしまうかもしれません。
その結果、みずから孤立して孤独感にさいなまれることがあります。仕事を優先しすぎて人間関係をおざなりにしては、大切な人だけでなく取引先まで失ってしまうことになりかねないでしょう。
その3:事業の成長や存続が危ぶまれるリスク
すべてを一人で抱える働き方は、事業の成長も存続も妨げます。
実務ばかりに注力していると、事業の成長や存続に不可欠な戦略立案や新規開拓に手が回らず、停滞を招きます。停滞は、取引先の減少に対処できないなどネガティブな状況を生み出しやすく、売上が確保できなければ、廃業や倒産もあり得るのです。
目の前の業務に取り組むこと自体は大切ですが、それは短期的で一時的です。長期的な事業発展が望めないでしょう。
一人ブラック企業から抜け出す方法

一人ブラック企業から抜け出すためには、意識の切り替えと具体的な行動が必要です。小さな工夫から始めることで、働き方は大きく変わります。
ここでは代表的な方法をご紹介します。
方法1:業務の棚卸しをして「やめる」仕事を決める
まずは、自分が抱えている業務を見直し、やめても支障がない仕事を減らしましょう。
不必要な作業や風船度の低い業務を続けていると、時間もエネルギーも奪われ続けます。自分がやりたいと思ったプロジェクトでも、コスパが悪く採算が取れない状況なら、手放すことも検討できるでしょう。
やらない仕事、場合によっては家事など生活面にも踏み込んで決めることは、心の余裕を生み出す第一歩です。
方法2:事務代行や外注を活用する
一人ですべてを抱え込もうとせず、外注や事務代行を取り入れることも検討できるでしょう。
業務や日々のルーティンを棚卸しした結果、自分がやらなくてもいい仕事はいくつか出てくるでしょう。売上が十分に立っていない状況での外注は躊躇しやすいですが、本業に集中できる環境の確保には必須です。
外注する勇気が持てない場合には、クラウドやシステムの導入が検討できるでしょう。外注に出すよりは低価格で試すことができ、自分に合わないと感じたらすぐ解約ができるので、小さく始めるには最小限のリスクで始められます。
方法3:単価を見直して安売りをやめる
低単価案件を見直し、適正な価格で仕事を受けることが重要です。
単価が低いままでは、働いても働いても収入が上がらず、労働時間が増えるだけです。現状を把握し、低単価の取引先には価格交渉をしたり、取引を終了・引き継ぎをしたり、場合によっては外注することも検討できるでしょう。
収入があるに越したことはありませんが、「自分がいくら稼ぎたいのか」「毎月いくらあれば生活費を確保し、貯金ができるのか」を把握し、そこから逆算して見直すことも検討できるでしょう。
方法4:仕事と生活の境界を作る
オンとオフを明確に分けるルール作りで、心身の健康を守りましょう。
時間の区切りがなければつねに働き続ける状態となり、休養は取れません。仕事はエンドレスでできてしまうことだからこそ、「最大でも〇時まで」「日曜日は完全休業する」などのルールを決めるのをおすすめします。
オンとオフのメリハリをつけることで、パフォーマンスは向上するでしょう。
まとめ

一人ブラック企業は、自分自身を追い込みすぎてしまう働き方です。強い責任感、完璧主義、断れない生活などが重なると、心身の不調や事業の停滞を招くので、改善が必須でしょう。
一気に変えようとすると長続きしないので、自分のできることから小さく始めることがおすすめです。今の状況を少しずつ変えて、長く事業を続けていきましょう。
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