個人事業主は、会社員と違ってストレスチェック制度の対象ではありません。しかし、不調やメンタル不調は収入や事業の継続に直結します。だからこそ、自分自身でストレスチェックを行い、早めに変化に気づくことが大切です。
そこでこの記事では、ストレスチェック制度の概要から、個人事業主がセルフチェックを行う理由、具体的な方法や実践的な工夫、強いストレスを感じたときの対処法までを解説します。

小島 美和(佐藤 みなと)
合同会社あすだち 代表
時間に追われすぎない穏やかな生活を送りたくて、会社員生活を卒業→起業。オンライン事務代行として活動中。節約と時短をこよなく愛しています。息子と2人暮らしのシングルマザー。
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ストレスチェック制度とは?

ストレスチェック制度は、従業員が50人以上いる事業所に義務付けられている、労働者のメンタル不調を未然に防ぐための仕組みです。
働く人のストレスを早期に把握し、必要に応じて医師の面接や職場環境の改善につなげることで、うつ病や過労に防ぐことを目的としています。会社が従業員の健康を守る一次予防としての役割を担っています。
そのため、個人事業主、一人社長、小規模事業者にこの制度を設ける義務はありませんが、セルフチェックとして活用する価値は十分にあります。
個人事業主がストレスチェックを行うべき理由

個人事業主は自由度の高い働き方ができる一方、健康管理まで自己責任となります。会社員のように定期的な健康診断やストレスチェック制度の対象ではないため、自分の心身の変化を見過ごしやすいのが現実です。
そのような状況で、個人事業主がストレスチェックを行うべき理由は以下のとおりです。
理由1:収入が健康状態に直結する
個人事業主にとって、心身の不調は収入に直接影響します。
会社員のような有給休暇や傷病手当がないため、体調を崩すとそのまま仕事が止まってしまいかねません。長時間労働やプレッシャーでストレスがたまると、集中力の低下、睡眠障害、考えがまとまらない、動きたいのに動けないなどの心身症状が突然出ます。それでも無理を続けると状況は悪化し、納期遅れや取引先からの信用低下を招く可能性があります。
理由2:孤独な働き方でメンタル不調に気づきにくい
個人事業主は一人で仕事を進めることが多く、ストレスに気づきにくい環境にあります。
同僚や上司がいないため、仕事の愚痴や悩みを共有できず、不調を抱え込みやすいです。孤独感から不安が増幅し、「自分だけががんばらなければ」という思い込みで過労に陥っているケースもあります。自分で認識しづらいからこそ、定期的に自分の状態を把握することが大切です。
理由3:仕事と生活の境界があいまいになりやすい
業態として、仕事とプライベートの境目があいまいになりやすく、ストレスが溜まりやすい傾向があります。
特に在宅ワークでは、休む時間と働く時間の区切りがなく、知らないうちに長時間労働になりやすいです。睡眠時間を削るなどで身体に無理させる働き方を続けると、生活リズムが乱れ、慢性的な疲労感が積み重なります。「自分は大丈夫」と思っていても、ストレスによって突然動きたくても動けない、身体が言うことをきかなくなることがあります。
個人事業主ができるストレスチェック方法

個人事業主の場合、自分自身で心身の状態を確認する仕組みを持つことが大切です。特に、一人で仕事を抱え、無意識に負担を溜め込みやすいからこそ、セルフチェックを習慣にして日々のコンディションを客観的に把握する必要があります。
個人事業主ができるストレスチェック方法は以下のとおりです。
方法1:無料診断ツールを活用する
まずは、信頼できるストレスチェックツールの活用が効果的です。
公的機関や医療機関が提供する無料診断ツールは、科学的根拠に基づいて作成されており、自分の状態を客観的に把握できます。代表的な無料診断ツールは、簡単な質問に答えるだけでストレスの度合いを確認できるので、取り組みやすいのではないでしょうか。
方法2:日常生活のセルフチェックする
日常の「小さな変化」に注目して、セルフチェックを行うことも重要です。
ストレスは身体や心にサインとして現れるため、普段の状態を知ることで早めに気づけます。
チェックすべきポイントは、「睡眠の質や時間」「食欲の有無」「集中力の持続性」「感情の揺れ動き」などがあります。これらが自認する普段の状態に近いか、差があるかどうかを簡単に記録しておくだけでも、調子を見極めるヒントになります。
方法3:記録や振り返りでストレス傾向を把握する
ストレスの兆候を客観的に把握するためには、記録と振り返りを取り入れることも効果的です。
その場の感情だけではストレスの蓄積に気づきにくいため、時間をかけて自分の状態を可視化する必要があります。手帳やアプリに「今日の気分」「体調」「仕事の進み具合」をメモし続けると、自分の傾向を把握し、事前に予防対策ができるようになるでしょう。
ストレスをためないための実践的な工夫

ストレスをためこんでしまうと、解消に時間がかかるので、日常的に「ためこまない仕組み」を意識して取り入れることが重要です。意識的に生活を整えなければ、すぐに長時間労働や孤立につながるため、小さな心がけを続けていきたいものです。
ストレスをためないための実践的な工夫は以下のとおりです。
その1:仕事のオン・オフを切り替える
手始めにおすすめなのが、仕事のオン・オフの切り替えをはっきりさせることです。
個人事業主は、業態として働く時間と休む時間の境界があいまいになりやすく、知らないうちに長時間労働になりがちです。勤務時間帯をあらかじめ決めて、「夜9時以降はメールを見ない」「休日はパソコンを開かない」などとルールを作り実践することで、頭と身体を休めやすくなります。
その2:適度な休養と運動を習慣にする
休養と運動を日常に組み込むことは、ストレスをためないための基本的な取り組みです。
身体を休めたり動かすことで心身のバランスを整え、ストレスに強い状態を維持しやすくなります。仕事の合間に10分間の昼寝を取り入れる、毎朝の散歩を習慣にする、ヨガやストレッチをするなど、無理なく続けられる方法を取り入れたいものです。
その3:業務を外注して負担を減らす
業務が多すぎると感じたときは、思い切って外注することでストレスを軽減できるかもしれません。
すべての業務を一人でこなそうとすると作業過多による疲労やプレッシャーが増え、結果的にパフォーマンスの低下につながります。経理や事務処理を事務代行に任せたり、デザインや動画編集をクラウドワーカーに委託するなど、自分の得意分野以外を任せるのも選択肢のひとつでしょう。
外注することに抵抗がある場合は、業務内容の見直し・改善、業務量の調整で、一人でもこなせる業務量に縮小することも検討できるかもしれません。売上があるに越したことはありませんが、メンタルブロックがある状況では、かえってストレスが増える場合もあります。
強いストレスを感じた場合の対処方法

方法1:専門家に相談する
強いストレスを感じた場合は、すぐに専門家へ相談するのを強くおすすめします。
この状態では心身が限界に達し、自分だけで抱え込むとより深刻化して事業継続ができなくなることもあります。専門家の意見を取り入れて、適切な治療につながることを優先しましょう。
まずはメンタルクリニックや心療内科への通院です。近年は精神疾患の患者数が増え、予約が取りづらい傾向があるので、診察が数ヶ月後になるケースもあります。その場合は、診察の予約を入れたうえで、公的な相談窓口やオンラインカウンセリングの利用して、少しでも心の負担を軽くしたいものです。
方法2:業務の優先度を見直す
ストレスが強いときは、業務の優先順位を整理して負担を減らすことも検討しましょう。
やるべきことが山積みのまま進めようとすると、焦りがストレスを悪化させるため、まずは「今すぐ必要なこと」「優先度は低くても将来の投資になること」「後回しにできること」を仕分ける必要があります。重要で優先度の高い業務に集中し、雑務や繰り延べできる作業をリストから外すことで、心の余裕を取り戻せます。
方法3:外注やサポートを活用する
どうしても手が回らず、業務量の調整が難しい場合は、外注やサポートを活用しましょう。
メンタルブロックにより抵抗があれば、一時的と割り切って業務をサポートしてもらいます。すでに疲労とストレスが限界に達しているので、背に腹は代えられません。事業の継続を優先させるためにも、自分を守る行動にシフトしたいですね。
経理や事務処理などのルーティン業務のような共通の業務は、他社でも同じ方法で運用されているので依頼先が見つけやすく、比較的依頼のハードルが低いです。小さく始めて、自分の負担を減らしていきましょう。
方法4:休養とリフレッシュを優先する
ストレスが高いときほど、思い切って休養やリフレッシュを最優先しましょう。
疲労が蓄積したままでは回復が遅れ、心身のバランスがさらに崩れてしまいます。1日仕事を完全に休んで睡眠を確保する、自然の中で過ごす、趣味に没頭するなど、意識的に心と体をリセットできる時間を持ちましょう。
まとめ

個人事業主は制度上の義務がなくても、自分の心身を守るためにストレスチェックを取り入れることが大切です。セルフチェックや日常の記録で早めに兆候をつかみ、オン・オフの切り替えや外部サポートで負担を軽減しましょう。
強いストレスを感じたときは専門家に相談し、早めの対応を心がけることが事業の継続につながります。
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