マイクロ法人の設立そのものは書類や登記で完了しますが、本当のスタートは、その後の手続きや準備と言っても過言ではありません。手続きによっては期限が設けられているので、期限を守ってスマートに対応を進めていきたいですね。
そこでこの記事では、マイクロ法人を設立した直後に取り組むべき実務を、手続き、契約、注意点の3つの観点から整理し、初めての方でも迷わず進められるようにわかりやすく解説します。

小島 美和
合同会社あすだち 代表
時間に追われすぎない穏やかな生活を送りたくて、会社員生活を卒業→起業。オンライン事務代行として活動中。節約と時短をこよなく愛しています。息子と2人暮らしのシングルマザー。
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マイクロ法人設立後にやるべきこと一覧

マイクロ法人の設立は、設立に必要な書類を提出してからが本当のスタートです。
法人として正式に事業を始めるための手続きは、設立してから1~2ヶ月以内で対応を済ませる必要があります。抜け漏れなく、今の状況にあうものをすべて対応して、初めての法人運営までスムーズに移行させていきましょう。
税務署に提出する書類
登記上の本店住所と、実際の事業を行う事務所の所在地が異なる場合は、「納税地の異動に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。この届出によって、実際に業務を行っている場所を納税地として指定することができ、税務署からの通知や書類の送付先を業務拠点に変更できます。
法人の登記住所がバーチャルオフィスなどの場合、実務を行う場所(たとえば自宅やシェアオフィス)に税務関連書類が届かないと、手続きに遅れが生じる恐れがあります。納税地を事務所所在地に変更しておけば、連絡の行き違いを防げるだけでなく、税務調査なども実態に即した対応が可能になります。
都道府県税事務所・市区町村に提出する書類
社会保険の手続き

書き方が分からない場合には、近くの年金事務所へ行き、書き方を教えてもらうこともできます(予約は不要です)。
労働保険の手続き
その他の手続き
- 銀行口座の開設
- 法人名義の銀行口座の開設
- 役員報酬の決定と取締役会議事録の作成
マイクロ法人設立後にやるべき契約一覧


マイクロ法人を立ち上げたら、事業を円滑に進めるための契約やサービスの整備を整えましょう。信頼性のある運営体制をつくるために、最低限おさえておきたい契約項目を一覧でご紹介します。
法人運営の契約
- 事務所契約(賃貸・バーチャルオフィス)
- 法人用電話番号・電話転送サービス
- ドメイン・サーバー契約
- 法人用メールアドレス
- 業務委託契約・業務委託契約書のドラフト作成
業務効率化・管理系サービスの契約
- クラウド会計ソフト
- 請求書作成・電子契約サービス
- 経費精算アプリ
- ビジネスチャット・オンライン会議ツール
金融・支払い関連の契約
- 法人用クレジットカードの契約
- オンライン決済サービス
- 資金調達や補助金関連のサポートツール
信用力・法務強化のための契約
- 顧問税理士・社労士との契約
- 商標登録や法務相談の顧問弁護士契約
- 事業保険
必要なサービスは、事業内容、従業員数、規模、予算感によって異なります。
まずは必要最低限の場合には、
- バーチャルオフィス
- クラウド会計ソフト
- ホームページ
- 法人用銀行口座
- 電子契約ツール
をそろえるのがおすすめです。
マイクロ法人設立後にありがちな注意点


マイクロ法人の設立はゴールではなくスタートです。手続きや運営体制を整えたつもりでも、見落としや勘違いによって思わぬトラブルに発展することがあります。
この章では、設立直後によくある注意点を整理し、失敗を防ぐためのポイントをご紹介します。
注意点1:役所への届出漏れ
マイクロ法人を設立した際に特に注意したいのが、「役所への届出漏れ」です。税務署だけでなく、都道府県税事務所や市区町村への届出も必要で、提出を忘れると後々トラブルになることがあります。
法人を設立すると、法人住民税や法人事業税などの地方税も課税対象になります。これらの税金は、地方自治体に「法人設立・設置届出書」を提出することで把握される仕組みになっているため、届け出ていなければ課税処理が正しく行われず、追加徴収や問い合わせが来る可能性があります。また、申請漏れによって補助金や助成金の対象外になるケースもあります。
注意点2:社会保険の加入義務の誤認識
マイクロ法人を設立した人がよく陥るのが、「社会保険は従業員を雇ってからでいい」と思い込むことです。しかし、法人の場合、代表者1人だけでも「原則として社会保険への加入義務」が発生します。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、法人の代表者であっても、常勤で報酬を受け取る場合には加入が義務付けられています。これを知らずに放置していると、年金事務所からの調査や督促が入り、未加入期間分の保険料を遡って請求されるリスクがあります。
注意点3:法人口座開設の審査落ち
マイクロ法人を設立してすぐに直面しがちなのが、「法人口座の審査に通らない」ことです。特に登記直後やバーチャルオフィス利用時は、金融機関の審査が厳しくなりやすいため注意が必要です。
銀行は、マネーロンダリングや架空会社の防止を目的に、法人口座の開設に際して事業の実態や将来性を重視します。登記住所がバーチャルオフィスだったり、Webサイトや事業計画が不十分だったりすると、「実体のない会社」と判断され、口座開設を断られることがあります。
注意点4:書類の不備や保存義務の見落とし
マイクロ法人を設立したばかりの時は、税務や法務の書類にミスが起こりやすいので注意が必要です。これを軽視すると、税務調査で問題を指摘されたり、罰則や追加の税金を支払うリスクがあります。
法人は、定款、取締役会議事録、契約書、請求書、領収書、帳簿などを一定期間保管しなければなりません。また、書類ごとに保存期間(通常7年)や保存方法(紙または電子)があります。これらのルールを知らずに書類を捨てたり、必要な情報を記入しないまま提出することは、後に大きなトラブルを招く可能性があります。
注意点5:個人と法人のお金の混同
マイクロ法人でよくある失敗のひとつが、「個人と法人のお金を混同してしまうこと」です。法人は個人とは別の存在なので、お金をしっかり分けることが大切です。
プライベートの支払いを法人のクレジットカードで行ったり、法人の売上を個人口座に入れたりすると、経費が認められなかったり、税務調査で問題にされることがあります。また、意識せずにお金を移動すると、「役員貸付金」や「役員借入金」と見なされて、知らないうちに税金がかかることもあります。
まとめ


マイクロ法人を設立することは、事業を始める第一歩です。
法人設立から1〜2か月の間に対応が求められる書類や契約が多いため、優先順位を明確にし、チェックリストを活用しながら抜け漏れなく進めることが大切です。初めて法人を運営する方でも不安にならないように、必要があれば専門家のサポートを受けつつ、安定した運営の基盤を作っていきましょう。
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