個人事業主や一人社長にとって、「働きすぎてしまう」「生活とのバランスが取れない」といった悩みはよくあります。事業を続けるには収入の確保だけでなく、心身の健康や生活の満足度を守ることも欠かせません。
そこでこの記事では、ウェルビーイングとワークライフバランスの違いを整理しながら、それぞれのメリット・デメリットや実践のコツを紹介し、持続可能な働き方へのヒントをお伝えします。

小島 美和(佐藤 みなと)
合同会社あすだち 代表
時間に追われすぎない穏やかな生活を送りたくて、会社員生活を卒業→起業。オンライン事務代行として活動中。節約と時短をこよなく愛しています。息子と2人暮らしのシングルマザー。
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ウェルビーイングとライフワークバランスの違いとは?

ウェルビーイングとワークライフバランスは、似ているようで異なる概念です。ワークライフバランスは「時間の調整」、ウェルビーイングは「人生の質の向上」に焦点を当てています。
ワークライフバランスは、仕事と生活を両立させるための考え方で、長時間労働を避けたり家族や趣味の時間を確保したりと、主に「働きすぎを防ぐ視点」が強いです。一方、ウェルビーイングは、心身の健康、幸福感、人間関係、経済的安定など、人生全体を豊かにする包括的な概念で、単なる時間配分を超えた広がりを持っています。
ウェルビーイングとワークライフバランスの違い
項目 | ワークライフバランス | ウェルビーイング |
定義 | 仕事と生活の調和を取ること | 心身・社会的に満たされた幸福な状態 |
目的 | 働きすぎを防ぎ、プライベートの時間を確保する | 人生全体の質を高め、持続的に健康で充実した生活を送る |
焦点 | 時間の使い方、仕事と生活との境界 | 心身の健康、人間関係、社会的つながり、経済的安定など幅広い要素 |
範囲 | 主に仕事とプライベートの二軸 | 生活全体 |
アプローチ例 | ・労働時間の短縮 ・休暇取得 ・残業削減 | ・健康習慣 ・メンタルケア ・人間関係の充実 ・経済的安定 |
成果イメージ | 仕事と生活のバランスが取れている状態 | 心も身体も社会的に満たされている状態 |
期待される効果 | 業務と生活の境界を意識して過労を防ぐ | 長期的に事業を続けられる心身の土台を作る |
ウェルビーイングとワークライフバランスのメリット・デメリット

ウェルビーイングとワークライフバランスは、どちらも働き方や生活を整えるために必要ですが、それぞれのメリットとデメリットを理解して活用することで、より持続的な事業運営が可能になります。
ワークライフバランスは「仕事と生活の時間配分を整える視点」であり、短期的に労働環境が改善しやすい一方で、本質的な幸福感や健康維持には直結しにくい側面があります。対して、ウェルビーイングは「心身・社会的な満足度」を含む広い概念で、人生全体の質を高める長期的な効果が期待できますが、実践が抽象的で取り組みにくいという課題があります。
ウェルビーイングとワークライフバランスのメリット・デメリット
項目 | ワークライフバランス | ウェルビーイング |
メリット | ・過労や長時間労働を防げる ・家庭や趣味の時間を確保できる ・比較的取り組みやすい | ・人生全体を豊かにできる ・健康、人間関係、経済が整いやすい ・事業の持続性や創造性が高まる |
デメリット | ・切り分けが目的化しやすい ・時間を減らしても幸福感は別問題 ・突発業務で計画通りに進まない | ・抽象的で取り組みが難しい ・効果が見えにくく後回しになりやすい ・多方面に気を配る必要がある |
ウェルビーイングとワークライフバランスのどちらから始めればいい?

ウェルビーイングとワークライフバランスを取り入れる際、まずはワークライフバランスを整えるのがおすすめです。そのうえで、徐々にウェルビーイングへ視点を広げていくと、無理なく実践できるでしょう。
ワークライフバランスは時間配分の見直しが中心なので、すぐに取り組みやすく、効果も実感しやすいです。たとえば、残業を減らす、休暇を確保するといった小さな工夫だけでも、生活リズムが整い心の余裕が生まれます。その余裕が、ウェルビーイングを意識する土台になります。
個人事業主や一人社長であれば、まずは、
- 週に1回は休む
- 夜は一定時刻以降は業務をしない
- 仕事ではカフェやコワーキングスペースを活用する
などのルールを作ることがワークライフの実践になります。その結果できた時間や心の余裕を使って、運動、食事改善、人とのつながりといったウェルビーイングの習慣へ広げていく流れが自然です。
ワークライフバランスを整えるコツ

ワークライフバランスを整えることは、きれいごとの理想ではなく、経営を続けるために欠かせない戦略のひとつです。ここでは、個人事業主や一人社長が実際に取り入れやすい方法をご紹介します。
コツ1:業務の優先順位を徹底する
一人で経営する場合、業務に優先順位をつけることが不可欠です。「やるべきこと」と「やらなくてもいいこと」を区別することで、事業を効率的に回せます。
すべての仕事を同じ重みで扱うと、売上に直結しない雑務や細かい作業に時間を取られやすくなります。その結果、本来注力すべき顧客対応や新規案件獲得の時間が不足し、長時間労働に陥る危険性があります。持続的に成果を出すためには、業務の優先度を見極めることが重要です。
コツ2:自動化ツールを導入する
自動化ツールを導入することで、繰り返し作業を減らし、経営者が本当にやるべき業務に集中できる環境を整えられます。
自力ですべての業務を処理しようとすると、時間を奪われる単純作業に追われやすく、労働時間が膨らみ休む余裕がなくなります。この状態が続くと生産性も下がり、事業の持続可能性が損なわれやすくなります。これに対し、自動化ツールの活用をすれば「時間の節約」「ミス防止」「効率化」でき、本来注力すべき顧客対応や戦略立案に集中できるでしょう。
コツ3:顧客とのルールを事前に決める
顧客対応のルールをあらかじめ決めておくことで、無理のない働き方を実現しつつ、取引先にも安心感を与えることができます。
「顧客の期待に応えたい」という気持ちから即レスや休日対応を続けると、心身に負担がかかり、長期的にはサービスの低下につながりかねません。無制限に対応してしまうと自分自身が疲弊し、「一人ブラック企業」の状態になりやすいのです。だからこそ、自分自身を守り、顧客満足度を高めるためにも、ルール設定は大切です。
コツ4:事務代行・外注を積極的に活用する
事務代行・外注の活用は単なるコストではなく、経営者の時間と集中力を確保するための投資です。
個人事業主や一人社長は、経理、請求書発行、SNS更新など、売上に直結しない雑務までを抱え込みがちです。しかし、それらに時間を奪われると、事業の核となる顧客対応や新規開拓に十分なリソースを割けなくなり、成長の機会を逃してしまいます。事務代行・外注を「支出」ではなく「未来への投資」ととらえることで、経営者が本来やるべき仕事に専念できる戦略的な選択となるでしょう。
コツ5:定期的に休みをスケジュールに組み込む
定期的な休みをスケジュールに組み込むことは、怠けではなく事業を長く続けるための経営戦略であり、セルフマネジメントの一環です。
休みを取らずに働き続けると疲労が蓄積し、判断力や集中力の低下、ミス、不調につながります。過労状態が長引くと、適応障害やうつ病といった精神的なリスクも高まり、経営そのものが立ち行かなくなる可能性があります。休みは丸1日でないといけない、ということもないので、臨機応変に休みを設定し、その時間帯・その日は仕事をしないと決めておくことも休むためには大切な取り組みです。
ウェルビーイングを高めるコツ

ウェルビーイングを高めるためには、日々の生活や働き方に小さな工夫を積み重ねることが欠かせません。心身の健康を保ちながら事業を続けるには、多面的に人生をとらえることが必要になります。
ここでは、個人事業主や一人社長がすぐに取り入れやすい具体的な方法をいくつかの切り口に分けてご紹介します。
コツ1:生活リズムを整える
まずは、生活リズムを整えることです。規則正しい生活は、心身の安定と事業の継続性を支える基盤になります。
睡眠、食事、運動といった基本的なリズムが乱れると、集中力や判断力が低下しやすく、結果的に業務効率やサービスの質に影響を及ぼしやすくなります。特に、個人事業主や一人社長は、仕事と生活の境界があいまいになりやすく、不規則な生活になりがちです。
生活リズムを整える一環として、
- 毎日同じ時間に起床・就寝する
- 昼食後に10分の散歩を取り入れる
- 夜は終業時間を過ぎたらパソコンを閉じる
といった小さな工夫を習慣化すると、体調が安定し、仕事の集中度も高まります。こうした習慣は、短期的なパフォーマンス向上だけでなく、長期的な健康維持にもつながるでしょう。
コツ2:感情を整える習慣を持つ
日常的に感情を整えることも欠かせないでしょう。ストレスを溜め込まず、冷静に判断できる状態を保つことで、事業にもプラスの効果をもたらします。
感情の浮き沈みが激しいまま働き続けると、集中力や判断力が鈍り、誤った判断や人間関係のトラブルにつながります。個人事業主は孤独や不安を抱えやすく、感情がそのまま仕事の質や顧客対応に影響しやすい立場にあります。
たとえば、朝の5分を使って日記に気持ちを書き出す「ジャーナリング」や、深呼吸や瞑想で頭をリセットする習慣は、ストレスを軽減し、感情の波を落ち着かせてくれます。信頼できる相手と定期的に会話するだけでも、不安を和らげ前向きな気持ちを取り戻す効果があります。
コツ3:人とのつながりを大切にする
人とのつながりを意識的に大切することも欠かせません。孤独を避け、安心感や支えを持つことで、心の安定と事業の持続性が高まります。
個人事業主や一人社長は一人で仕事を抱えることが多く、孤独感や不安に直面しやすいです。孤立するとストレスが増し、モチベーションや判断力にも悪影響を及ぼします。一方で、他社とのつながりは心理的な支えとなり、安心感を生み出すでしょう。
たとえば、同業者や起業仲間と定期的に情報交換をする、オンラインコミュニティに参加する、家族や友人との時間を意識的に確保するといった取り組みです。顧客との信頼関係を築くことも、仕事と心の両方を支える大切なつながりになります。
コツ4:自分の価値観に合った働き方を選ぶ
自分の価値観に合う働き方を選ぶことが重要です。他人の基準ではなく、自分が本当に大切にしたいものを軸に働き方を決めることで、満足感と持続力が生まれます。
自分の価値観と合わない働き方を続けると、不満やストレスが蓄積されやすく、長期的にはモチベーションの低下や体調不良につながります。反対に、自分の優先順位に沿った選択をすると、多少の困難があっても前向きに取り組めるエネルギーが湧いてきます。
たとえば、「子供との時間を最優先にしたい」と考えるなら、夜間や週末の仕事を極力避けるルールを設定することも一つの方法です。「新しい挑戦を続けたい」と思うのなら、ルーティン業務を外注して、創造的な活動に時間を割くのも有効でしょう。
コツ5:小さな楽しみを取り入れる
最後に、日常の中に小さな楽しみを取り入れることです。仕事中心になりがちだからこそ、意識的に心が満たされる時間を作る必要があります。
日々の業務だけに追われていると、心に余裕がなくなり、やる気や創造性が下がりやすいです。小さな楽しみはストレスを和らげ、前向きな気持ちを取り戻すエネルギー源になります。
たとえば、
- 好きなカフェでコーヒーを飲む
- 季節の花を飾る
- 音楽や読書に没頭する
- 子供と散歩する
などが挙げられます。数分から数十分でできることでも充分でしょう。こうした習慣を取り入れることで、「がんばるためのご褒美」が日常に組み込まれ、自然と心身がリフレッシュされます。
ウェルビーイングとワークライフバランスを統合する考え方

ウェルビーイングは「人生全体の充実」、ワークライフバランスは「仕事と生活の時間調整」を意味し、どちらも欠かせない要素です。片方だけでは偏りやすく、両方を組み合わせたり、バランスの微調整を繰り返してはじめて自分にとっての持続可能な働き方が実現できます。
ここからは、両者をどう結び付けて実践すれば良いかを、具体的なポイントごとに見ていきましょう。
その1:役割の違いを整理する
ウェルビーイングとワークライフバランスは、似ているようで異なる役割を持ちます。両者の違いを整理することで、自分にとって必要な取り組みを明確にできます。
ワークライフバランスは「仕事と生活の時間配分を調整する方法」であり、働きすぎを防ぎ短期的に生活を整える視点です。一方、ウェルビーイングは「心身・社会的な満足度を高める状態」を指し、人生全体を豊かにする庁的な視点を持っています。この違いを理解しないまま実践すると、偏った取り組みになってしまいます。
その2:補い合う視点を持つ
ウェルビーイングとワークライフバランスは、どちらか一方を優先するのではなく、互いに補う視点を持つことで効果が高まります。
ワークライフバランスで「働きすぎを防ぐ仕組み」を作り、心身に余裕を生む一方で、その余裕をどのように過ごすのかを決めるのがウェルビーイングです。時間の調整だけでは人生の満足度は高まりませんし、逆にウェルビーイングだけを意識しても、時間管理が伴わなければ習慣化ができません。
その3:小さな積み重ねから実践する
ウェルビーイングとワークライフバランスを定着させるには、一度に大きく変えようとするのではなく、小さな工夫を積み重ねることが効果的です。
大きな目標や過激な変化は続けにくく、途中で挫折しやすいです。小さな行動であれば無理なく習慣化でき、時間の調整(ワークライフバランス)と心身の充実(ウェルビーイング)の両方に少しずつ効果が表れてきます。
まとめ

ウェルビーイングは「人生全体の充実」、ワークライフバランスは「仕事と生活の調整」。どちらも片方だけでは不十分で、両立させることが持続可能な働き方につながります。
まずは働きすぎを防ぐワークライフバランスから始め、そこで生まれた余白を心身の充実にあてると、自然にウェルビーイングも高まります。小さな工夫の積み重ねを通じて、事業と暮らしの両方を豊かにしていきましょう。
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