生成AIの活用が盛んになっていて、日常に取り入れられるようになりました。しかし、情報漏えいや著作権などのリスクを恐れて、生成AIの活用をためらっている方も多いです。
そこでこの記事では、生成AIのリスクを整理したうえで、安全に運用するための具体的な設定や、法的・倫理的なバックアップ方法をわかりやすく解説します。

小島 美和(佐藤 みなと)
合同会社あすだち 代表
事務歴15年以上。2021年に独立、幅広い業種の一人社長や個人事業主のサポートをしています。「仕事のていねいさ」「相談しやすさ」に定評。
限られた時間の中で最大の成果を出す「効率化」を重視し、お客様が本来の業務に集中できるよう、心強いパートナーとして伴走します。
本業に集中したい一人社長・個人事業主のあなたへ
事務作業・雑務を手放して、自由な時間を増やしませんか?
みなとのオンライン事務代行の概要は[こちら]からご覧いただけます
生成AIの4つのリスク

生成AIは、自分が使いたいときに使える便利なツールですが、事業を一瞬で揺るがすリスクがあります。一人社長や個人事業主は組織に守られていないからこそ、生成AIを使用することで生じるリスクを正しく理解し、適切にコントロールする必要があります。
リスク1:情報漏えい
もっとも警戒すべきは、AIに出力した情報が、AIの知識として吸収されてしまうリスクです。
多くの無料版AIサービスでは、ユーザーが入力したプロンプト(指示文)を、AIの精度向上のための学習データとして利用することを規約に盛り込んでいます。
たとえば、
- 開発中の新標品の企画書を要約する
- クライアントの個人名が含まれたメールの返信案を作らせる
ということをすると、その内容が世界中の誰かへの回答として出力されてしまいかねません。その場合、クライアントとの守秘義務違反(NDA)となり、損害賠償請求をされたりして信頼を失う致命傷になりかねません。
リスク2:著作権侵害
AIが生成した画像や文章が、既存の著作物に酷似していた場合に起こるリスクです。これには、「作るとき」と「使うとき」の二面性があります。
生成時のリスクは、特定の作家やクリエイターの作風を指定して生成した場合、意図せずとも「パクリ(依拠性)」があると判断され、著作権侵害で訴えられるケースがあります。
利用時の場合、現在の日本の法律では、AIが100%生成しただけのものには、著作権が発生しない可能性が高いとされています。つまり、あなたがAIで苦労して作ったコンテンツを他人に無断転載されても、法律で守るのが難しいことが多いです。
リスク3:ハルシネーション(もっともらしい嘘)
AIは、統計的に「次に続く確率が高い言葉」をつなげているだけです。そのため、事実でないことを、さも事実化のように解答する「ハルシネーション」が発生します。
たとえば、専門的な法律知識、税務、最新のトレンドについてAIに記事を書かせ、内容を精査せずに発信すると、その内容が間違っていた場合「この人はでたらめだ」とレッテルを貼られてしまうかもしれません。それが原因で、事業や個人に対する信頼を失う可能性もあります。
リスク4:権利関係と利用規約の不透明さ
AIツールの利用規約は、頻繁にアップデートされます。
AIツールによっては、有料プランを解約した途端に、過去に作った生成物の商用利用券が消滅するケースもあります。また、AIで生成したロゴを商標利用しようとしても、審査が通らない、他者の権利を侵害しているとして、使えなくなるリスクがあります。
生成AIのリスクをゼロに近づけるAI活用術

生成AIの利用で大切なことは、使わないことではなく、リスクを知って適切に使うことです。
ここでは、生成AIのリスクをできるだけゼロにした活用方法をご紹介します。
その1:学習オフ設定をする
もっとも確実な対策は、AIに「入力したデータを学習素材にさせない設定」を行うことです。主要ツールごとの設定ポイント(2026年最新版)は以下のとおりです。
| 生成AIツール | 設定方法 |
| ChatGPT | 「設定」→「データコントロール」にある、「すべてのユーザー向けにモデルを改善する(Improve the model for everyone)」をオフにします。 |
| Claude | 設定画面の「Privacy Controls」から、「モデル改善のためのデータ使用を許可しない」を選択します。 |
| Gemini | 「Geminiアプリ アクティビティ」の設定をオフにします。 |
その2:入力データをぼかす
設定を過信せず、自分で情報を守る習慣も不可欠です。具体的には以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 固有名詞の置き換え | 顧客名「田中太郎様」を「A社担当者」、具体的な商品名「桜スイーツ」は「自社商品」など、一般名詞に置き換えてからAIに投げます。 |
| 機密情報のマスキング | 契約書の条項をチェックさせる際は、金額、日付、住所などの特定可能な数値を「〇〇」と伏せ字にしてAIに投げます。 |
| 公開済みデータをベースにする | AIに読み込ませるのは、すでに自社サイトやSNSで公開している情報に限定する、というマイルールを作るのも有効でしょう。 |
その3:自分の目での情報精査を徹底する
AIが出力した内容をそのまま公開するのではなく、公開前にかならず人間(あなた)が最終確認・情報精査を徹底しましょう。
| 項目 | 内容 |
| 事実確認(ファクトチェック) | AIが出力したデータ、URL、法律の条文などは、かならずGoogle検索などで一時ソースを確認しましょう。 |
| 自分の経験を肉付けする | AIが出力した文章に、あなたの失敗談、成功体験、独自の視点を1割加えるだけで、著作権上の創作性が認められやすくなり、AI感が払しょくされます。 |
| AI使用の明文化 | クライアントワークの場合、あらかじめ「業務効率化のため、学習オフ設定を施した安全な環境でAIを活用しています」と契約書やメールで伝えておくことで、後々のトラブルの予防になります。 |
万が一に備える法的・倫理的バックアップ方法

生成AIの活用において、技術的な対策と同じくらい重要なのが、法律と信頼の面での守りです。特に、クライアントワークが発生する一人社長や個人事業主の場合、あらかじめ防波堤を築いておくことで、万が一の場合、責任問題を最小限に抑えられることもあります。
その1:契約書・利用規約に「AI条項」を盛り込む
クライアントとの契約で、AIの使用可否や責任の所在をあいまいにしないようにしましょう。条文の記載方法は、弁護士に相談のうえ適切な文章・表現にするよう気を付けてくださいね。
| 項目 | 内容 |
| 使用の合意 | 業務委託契約書に、「受託者は、業務効率化および品質向上のため、適切な情報管理を施したうえで生成AIを利用する場合がある」という一文を検討しましょう。 |
| 責任の範囲 | 「AI生成物に含まれる情報の正確性については、受託者が最終的な確認を行うものとする。ただし、AIの特性上、予期せぬ権利侵害のリスクを完全に排除できないことを双方が確認する」といった、リスク共有の姿勢を明文化しておくのもひとつの方法です。 |
その2:生成プロセス(ログ)を証拠として保管する
もし、生成したコンテンツに対して、「他人の著作権を侵害している」と主張された場合、重要なのは登用する意図がなかったことの証明です。
たとえば、どのような指示を出し、どのような試行錯誤を経てその回答にたどり着いたのか、プロンプトの保存が検討されるでしょう。AIとの対話で、独自に構成を練り上げたプロセスが証明できれば、法的な紛争になった場合でも、証拠として提示できることもあります。
その3:自分専用の「AI利用ガイドライン」を作る
大手企業が公開している「AI利用ガイドライン」を参考に、自分なりの行動規範をまとめておきましょう。これは対外的な信頼アピールにもつながります。
必要に応じて、「この記事の骨子はAIにより生成され、著者が加筆・修正を行いました」といった免責事項を掲載する基準を作っておきます。
その4:知財・法務の相談先を確保する
一人社長や個人事業主が、一人で法律を読み解くには限界があります。AI関連の法的トラブルに特化した相談窓口や、ITに強い弁護士による顧問サービスの利用も検討しましょう。
横浜市に事務所がある場合、公益財団法人 横浜企業経営支援財団の「ワンストップ経営相談」もおすすめです。経営に関連する実務全般の相談が無料で切るので、スポットで利用しやすいです。
まとめ

生成AIの利用には情報漏えいや著作権などのリスクがありますが、これらは「学習オフ設定」などで防ぐ手段があります。万が一に備え、契約書への明記、生成プロセスの記録なども控えておくことで、リスク予防になります。
正しく恐れ、安全な環境を整えたうえで、AIを上手に活用し、事業の可能性を最大限に広げていきましょう。
一人社長・個人事業主の「やりたい!」を事務の力で支えます

「あれもこれもやらなきゃ…」毎日、そんな小さな事務作業に追われて、本来の仕事や大切な時間が削られていませんか?
みなとのオンライン事務代行では、事務歴15年以上の経験を活かし、あなたの「事務」「雑務」を丸ごとサポートします。単なる代行ではなく、あなたの大切なビジネスややりたいことをかなえるためのパートナーとして、心を込めて整えます。
「こんなこと、頼んでもいいのかな?」という小さなお悩みも、スッキリ解消しませんか?あなたのお話を聞けるのを楽しみにしています。
\ 30分間、Zoomでじっくりお話をうかがいます /

